現場で働く看護師にとって、コミュニケーションは重要なポイントです。患者さん、そのご家族、同僚、医師、そして医療関係者など、様々な方との交流が必要になります。その中でも特に注意を払うべきは、患者さんや同僚とのコミュニケーションではないでしょうか。
では、① 看護におけるコミュニケーションの重要性とは何でしょうか?
また、② 看護を行う上で、患者さんや同僚とどのようにコミュニケーションを取るのが最適なのでしょうか?
看護におけるコミュニケーションの重要性
看護師にとって、看護に対しての知識や技術が大切なことは勿論ですが、それと同様にコミュニケーションはとても重要なケアの1つです。
患者さんとのコミュニケーションは、信頼関係を築くことで情報収集をし、アセスメントをすることで小さな変化にも気が付くために必要になってます。
また、患者さんのご家族とのコミュニケーションで、患者さんの癖や好んで食べている物、家族の目から見て不安に思っていることなどの情報も得られます。スタッフの間でのコミュニケーションは、情報の共有を行うことで、ミスを防ぎ、患者さんにとってより良いケアの提供を行うことができます。
スタッフ間でのコミュニケーションがしっかりとれていれば、患者さんの急変時や緊急事態に直面しても、スムーズに連携し、適切な対応を迅速に行うことができます。
看護におけるコミュニケーションは、患者さんのためでもあり、自分たちの為でもあるのです。
看護における援助的コミュニケーション
援助的コミュニケーションとは、
- 反復
- 相手の思っていることやメッセージを受け取り、要約し、言語化することによって相手に伝える。
- 沈黙
- 相手のペースに合わせ、急かすことなく相手が話し始めることを待つ。
- 問いかけ
- 相手の苦痛や不安、心配事や希望を意識しながら話を深めていく。
上記3つを意識しながらコミュニケーションを図ることで、相手との信頼関係を形成し、「相手が自分のことをわかってくれる人」と思ってもらうための技法です。看護において、患者さんの理解者となることは重要ですが、ただ理解するだけでは足りません。
相手(患者さん)が「この人は自分のことを理解してくれている」と感じることが重要です。
※参考:めぐみ在宅クリニック院長 小沢竹俊著 「小沢竹俊の緩和ケア読本 苦しむ人と向き合うすべての人へ」
兵庫教育委員会 「看護入門 第6回」
コミュニケーションスキルを上げるポイント
円滑なコミュニケーションを図るためには、信頼関係が重要なポイントになってきます。信頼関係を築き、それを保つために必要なことは、自分だけが信頼関係を築いていると感じることではなく、相手も同じように信頼関係を築けていると感じていることです。そのために重要なポイントとなるのは、相手への肯定・尊重、お互いの信頼を深めるための傾聴、同調、共感です。
信頼関係を築くことで、相手のことを理解し、お互いにとって適切な距離感を保つことができます。
ここでは、コミュニケーションスキルを上げるポイントを解説します。
肯定・尊重
相手の話に対して、肯定し、尊重することは大切です。
人はそれぞれ、違う人生を歩んできました。ですから、その人によって考え方やどのような行動をするのかなど違いがあります。
相手の考えや知識が自分とは違うものだとしても、それを頭から否定してしまってはコミュニケーションは取れなくなってしまいます。
まずは相手の話をゆっくりと聴き、相手の考え方を尊重することで警戒心も溶け、円滑なコミュニケーションを図ることができます。
相手との距離感が近づいた後に、相手との意見や考え方の違いについて「〇〇さんはこうお考えなのですね!自分はこういう考えを持っていましたが、〇〇さんとお話していると勉強になります」という風に、相手の考えを尊重しながら自分の意見を話すことでトラブルになりにくく、自分の意見を相手に伝えることができます。
傾聴
看護におけるコミュニケーションで重要なポイントの1つに傾聴が上げられます。特に重要なのは、受動的傾聴です。
相手の話に対して、頷いたり、「そうなんですね!」「あ~」「へぇ」など相槌を入れたり、話の途中で目を見ながら聴いたりすることで、相手は「この人はしっかりと話を聴いてくれている」と感じ、話をしやすくなります。
同調・共感
同調や共感は相手の心を安心させ、精神的余裕を与えることができます。患者さんであっても、同じ看護師同士であっても、この同調や共感をされることで、相手は一体感を感じることができ、信頼関係を築くことになります。
相手の話に同調・共感し、不安や苦痛などを分かち合い、労うことで精神的な安定と安心を感じさせることができます。
相手別コミュニケーション対応ポイント
コミュニケーションは相手によって対応の仕方を変える必要があります。
ここでは、患者さんやそのご家族とのコミュニケーションと看護師同士や職場でのコミュニケーション対応ポイントを解説します。
共通する大切なことは、相手に対しては丁寧語で話をし、何気ない会話であってもしっかり聞くことです。
相手に対して不快な思いをさせないよう、話の聴き方、表情、態度に注意をして下さい。
患者さんやご家族とのコミュニケーション
患者さんやそのご家族は、病気や治療方針、その後の生活状況などへの不安や恐怖などの感情を抱えていることが多いため、気持ちが混乱してしまい、イライラしたり、落ち込んだりします。そんな時、支えになるのが看護師です。
まずは、患者さんやそのご家族の不安や心配事などをゆっくりと傾聴します。傾聴した後は、患者さんやご家族が抱える不安や心配事に関して同調します。相手の気持ちが落ち着いたころに、治療方針やこれからの事などを話していきます。
患者さんやご家族は、自分の抱えている悩みを話すことで気持ちの安定を図ることができます。気持ちが混乱している状態で、治療方針や今後のことを話されてしまっては気持ちがついていかず、医師や看護師に対して不信感を覚えてしまうこともあります。
看護師は相手の気持ちに寄り添った対応をすることが求められるため、患者さんやそのご家族とのコミュニケーションでの対応ポイントは丁寧な傾聴と相手に同調し寄り添うことです。
看護師同士や職場でのコミュニケーション
看護師同士や職場でのコミュニケーションに対して、重要なポイントとして上げられるのが、正確で確実な情報共有です。
患者さんの情報は勿論、仕事に関する連絡事項など、医療チームで共有しなければいけない情報や連絡事項は正確に、確実に伝達、共有しなければいけません。連絡事項などは必ず復唱し、正確に伝達して下さい。
情報共有する時に大切なのは、「誰が」「いつ」「どこで」「何を」していたのか、誰が聞いてもわかるようにすることです。ミスや患者さんの病変兆候を見逃さないためにも、情報の伝達、共有は明確にしておく必要があります。
また、先輩や上司からの指導などは、しっかりと耳を傾け、真摯な態度で受け止めてください。医療関係者は観察力のある人が多いため、不貞腐れたり、ちゃんと話を聴いていない時はすぐに態度でわかってしまいます。
信頼を失うような言動、行動は避けてください!
自分は今、どの程度の知識や技術があるのか、どのような立場でコミュニケーションをとればいいのかなどを客観的な視点で見ることで、相手との距離感をつかみやすくなります。
コミュニケーションは相手も自分も守るスキル
看護においてのコミュニケーションとは、相手も自分も守る重要なスキルです。患者さんや職場の人たちとの良好なコミュニケーションは、適切な医療やケアの提供に繋がり、ミスを減らすことにも繋がります。
コミュニケーションはあまり得意でないと感じている方もおられるかと思いますが、まずはできることから始めて下さい。
- 笑顔で挨拶をする
- 人の話はよく聞く
- 報・連・相を確実に行い、情報は正確に伝える
上記のことを意識しながら行動することで、コミュニケーションスキルは上がっていきます。また、経験を積むことでコミュニケーションスキルを上げたい場合は、介護看護単発バイトアプリ「カイテク」などで、一日だけや数時間だけのバイトをすることもおすすめです。
様々な介護施設や医療機関で働くことで、沢山の人と出会い、自然とコミュニケーションスキルが身につきます。
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