訪問介護のサービス提供時間|考え方・時間区分・2時間ルールを解説

訪問介護のサービス提供時間を考える際、どのような基準で考えればよいか悩むことがあるかと思います。訪問介護は、一人ひとりの生活に基づいて支援を行うため、利用者ごとに所要時間が異なるのが特徴です。

今回では、訪問介護のサービス提供時間の考慮ポイント、介護報酬の時間区分と単位、そして注意が必要な「2時間ルール」について解説します。

目次

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訪問介護のサービス提供時間とは

訪問介護における「サービス提供時間」は、以下の2つを指します。

1.事業所が訪問介護サービスを提供している時間帯

ヘルパーが利用者宅を訪問してサービスを行う時間帯は事業所によって異なります。事務所の窓口が開いている時間帯を営業時間、ヘルパーが介護のために訪問する時間帯をサービス提供時間として分けている事業所も多いでしょう。

(例)
事業所の営業時間:8:00~17:00
事業所のサービス提供時間:7:00~19:00

2.利用者ごとのサービス所要時間

もう一つは、利用者ごとに定めた訪問介護の実施時間を指す場合です。一人ひとりに合わせた曜日と訪問時間、サービスの所要時間を設定しています。

(例)A様のサービス提供時間:水曜日の11:00~12:00、所要時間60分

訪問介護の時間区分と単位数

訪問介護の介護報酬はサービス内容と所要時間によって定められています。ここでは、介護報酬の基準となる訪問介護の時間区分と単位数を解説します。

身体介護

身体介護の時間区分ごとの単位数は以下の通りです。

  • 20分未満:167単位(身体介護0)
  • 20分以上30分未満:250単位(身体介護1)
  • 30分以上60分未満:396単位(身体介護2)
  • 60分以上:579単位に30分を増すごとに84単位

参照:厚生労働省|介護報酬の算定構造

生活援助

生活援助の時間区分ごとの単位数は以下の通りです。 

  • 20分以上45分未満:183単位(生活援助2) 
  • 45分以上:225単位(生活援助3) 

45分以上の生活援助3では、サービス時間に上限の定めはありません。生活援助が日常生活の支援を目的にしていることから、支援内容に合わせて60分以内に設定している事業所が多いでしょう。

事業所を安定して運営するためには、必要な行為と介護報酬のバランスを考えることも大切です。 

参照:厚生労働省|介護報酬の算定構造 

身体介護プラス生活援助

身体介護に引き続き生活援助を行うときは、時間区分ごとの身体介護の基本単位数に生活援助部分の単位数を加えて算出します。身体介護から引き続き行う場合の生活援助部分の単位数は以下の通りです。

(身体生活のサービス)

  • 20分以上45分未満:67単位(身体生活の生活1)
  • 45分以上70分未満:134単位(身体生活の生活2)
  • 70分以上:201単位(身体生活の生活3)

身体介護と生活援助を組み合わせたサービスでも、生活援助部分の単位数は上限で201単位となっています。

(身体生活の単位例)身体1生活1

排泄介助25分+掃除35分=60分のサービスの場合

①20分以上30分未満の身体介護:250単位(身体介護1)
②20分以上45分未満の生活援助:67単位(身体生活の生活1)

①+②=317単位(身体1生活1)

参照:厚生労働省|介護報酬の算定構造

サービス提供時間の考え方

訪問介護の時間区分と単位がわかったところで、次はサービス提供時間の考え方についても知っておきましょう。利用者一人ひとり適切な支援を行うための大切な考え方なので、確認してください。

支援内容に基いて時間設定する

サービス提供時間を設定する際は、ケアプランに位置付けられたサービス行為を基に所要時間を考えます。同じサービス行為でも、利用者によって支援が必要な範囲が異なるため、個別の状態に合わせて決めましょう。 例えば掃除の場合、「支援が必要なのは浴室だけ」「掃き掃除は本人ができる」などさまざまなケースがあります。

介護保険の時間区分に合わせて設定するのではなく、利用者の状態や支援内容に合った所要時間を考えることが重要です。 

時間が余る・足りない場合はサービスを見直す

設定したサービス提供時間で訪問介護を開始したところ、時間が余ったり足りなかったりすることもあります。サービス提供時間と実際の所要時間に差がある状態が続く場合は、支援内容とサービス提供時間の見直しを行いましょう。

適正な時間でサービス行為ができるよう、定期的な検証が大切です。

訪問介護の2時間ルールに注意

サービス提供のスケジュールを考えるときに注意したいのが、訪問介護の2時間ルールです。2時間ルールを考慮していないと、提供したサービスに対して得られる介護報酬が少なくなる場合があるためチェックしてください。

訪問介護の2時間ルールとは

訪問介護の2時間ルールとは、前回の訪問から2時間以上空けずに次のサービス提供を行った場合、それぞれの所要時間を合算した1回のサービスとみなすというきまりです。2時間ルールは複数の訪問介護事業所が行ったサービスの場合でも適用されるため、十分注意してください。

ただし、看取り期や通院等乗降介助などでは特例が設けられています。

参照:厚生労働省|訪問介護

2時間ルールの算定例

2時間ルールの算定について、適用されないパターンと適用されるパターンを紹介します。注目するポイントは、間隔の起点です。1回目のサービスの退去時刻を起点として、2回目のサービス開始時刻までを2時間空ける必要があります。 

(例)身体介護を1日2回提供

パターン1.適用されない:間隔が2時間以上の場合

10:00~10:25の身体介護 
13:00~13:25の身体介護 

間隔が2時間以上あるため、2回のサービスとしてそれぞれ算定する。 

20分以上30分未満の身体介護:250単位 
250単位×2回=500単位(身体介護1が2回) 

パターン2.適用される:間隔が2時間未満の場合 

10:00~10:25の身体介護 
12:00~12:25の身体介護 

1回目のサービスが終了した時刻から2回目のサービス開始の時刻までが2時間未満のため、二つの訪問時間を合算した50分の身体介護として算定する。 

30分以上1時間未満の身体介護:396単位 
396単位×1回=396単位(身体介護2が1回) 

訪問介護のサービス提供時間は支援内容に沿って設定しよう

訪問介護のサービス提供時間とは、利用者の居宅にヘルパーが訪問してサービスを行う時間設定を指します。サービス提供時間を決めるときは、利用者ごとの支援内容に基づいて考えることが重要です。

訪問介護の介護報酬は、サービスの内容と提供時間によって定められているため、計画と実際の所要時間に差が生じる場合は訪問介護計画の見直しをしてください。生活援助の提供時間や2時間ルールを考慮して、適切なサービス提供時間を考えましょう。

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この記事を書いた人

Iharaのアバター Ihara 運営者

15社以上のオウンドメディア・コンテンツの企画・戦略設計の経験を持つマーケティングアナリスト。大学在籍時に中小企業診断士一次試験突破。ASO・SEOを中心に活動しており、アプリ・インフルエンサーマーケティングにも精通がある。
介護・看護職のための単発バイトメディア「カイテク・メディア」の編集長。
介護・看護職のよりどころ「ケアマガジン」の運営者。

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