精神科の訪問看護とは?一般の訪問看護との違いや働く注意点を解説!

精神科訪問看護についてご存じでしょうか。その名の通り、精神疾患を抱える方に向けて、ご自宅などを訪問し、看護サービスを提供するお仕事です。精神科や心療内科などを受診される方は年々増加しており、今後さらなる需要の増加が見込まれています。

この記事では、精神科訪問看護に焦点を当て、訪問看護との違いや業務内容、働く際の注意点などをご紹介します。

また、精神科訪問看護に興味がある方に向けて、働く条件もお伝えしますので、ぜひ参考にしてみてください。

目次

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精神科訪問看護とは?

精神科訪問看護とは、精神障害をもって地域で暮らす方の健康と生活を支え、利用者の社会復帰や家族へのサポートをおこなう目的で看護師などがご自宅に訪問し提供されるサービスです。厚生労働省の調査によると精神疾患をもっている方は年々増加しており、平成29年には400万人を突破しました。

その一方で、入院患者数は平成14年から平成29年の15年で1割減少しています。地域包括ケアシステムが推し進められることで、精神疾患の治療に関しても高齢者医療と同様に医療機関から在宅へとシフトしています。

ニーズが高まる精神科訪問看護の役割は今後とても重要になります。

参考:訪問看護について
参考:第13回 地域で安心して暮らせる精神保健医療福祉体制の実現に向けた検討会

訪問看護との違い

「訪問看護」と「精神科訪問看護」の違いを説明する前に精神科看護についてご説明します。

日本精神科看護協会によると、精神科看護とは「精神的健康について援助を必要としている人々に対し、個人の尊厳と権利擁護を基本理念として、専門的知識と技術を用い、自律性の回復を通して、その人らしい生活ができるよう支援することである。」と定義されています。

訪問看護との違いは、対象となる方が精神疾患を有しているかになります。また、通常の訪問看護とは異なり、利用者の社会復帰支援に向けた取り組みや家族支援が主となります。医療サービスも提供しますが通常の訪問看護よりも少ない傾向です。

参考:精神科看護の定義

精神科訪問看護の流れ

精神科訪問看護のサービス提供までの流れは以下になります。

  • 利用者が精神科訪問看護事業所に利用申請する。
  • 主治医から精神科訪問看護指示書を取得する。
  • 事業所と面談をおこなう。
  • 利用開始

といった流れになります。精神科訪問看護指示書とは、サービスを受けるにあたり医師が精神科訪問看護の必要性があると判断した場合に交付する書類です。事業所との面談を通じて訪問時間や頻度などを調整します。

精神科訪問看護が求められる背景

精神科訪問看護が求められる背景には、精神疾患を有する方の入院期間の長期化や社会復帰の促進が課題となっていたことです。日本の精神医療は長年入院医療を中心としてきましたが、人口比10万人に対しての病床数は2006年時点でアメリカの5.4倍にものぼります。

平成16年9月に厚生労働省精神保健福祉本部で策定された「精神保健医療福祉の改革ビジョン」において「入院医療から地域生活中心へ」という理念が示されました。

参考:精神保健医療福祉の改革ビジョン

精神疾患の患者数の増加

精神疾患を有する外来患者数の推移をみると、平成14年に223.9万人でしたが、平成29年には389.1万人まで増加しています。疾患別では、アルツハイマー型認知症の増加割合が15年前に比べ7.3倍へと増加しており、気分障害(躁うつを含む)が約1.8 倍、神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害が約1.7倍と増加割合が顕著になっています。

精神科訪問看護の主な業務内容

精神科訪問看護では、医療ケアよりもメンタルケアを重視したコミュニケーション能力が求められます。

利用者との関係構築に悩む場面もあり、一般的な訪問看護とは違った大変さがあるでしょう。ここでは、精神科訪問看護の業務内容について解説します。

  • 日常生活の支援 日常生活機能の維持や生活技能の獲得に向けた支援をおこないます。具体的には、利用者一人ひとりに合わせて、買い物ができるように支援をおこなったり、洗濯物を干したり、畳んだりする作業ができるように「できることを増やす」、「できることを維持する」取り組みをおこないます。
  • 服薬管理 利用者の服薬管理支援や薬の飲み忘れ防止への意識付けなどもおこないます。薬を飲み忘れてしまうと精神症状が悪化しさらなる不調やトラブルに発展することもあります。医師から処方された薬がちゃんと服用できているかなど薬を服用する習慣づけも大切になります。
  • 精神症状の経過観察や悪化を防ぐ 日々の精神症状や身体症状に関するモニタリングを通して、症状の悪化を未然に防いだり、改善に向けた取り組みも重要になります。日によって精神症状にも変化が起きる場合もあるため、経過観察をおこないます。
  • 不安や悩みなどの相談 症状の悪化防止に向けて、悩み相談や不安を取り除く支援も必要です。利用者がどんなことに悩み、困っているのか些細な変化に敏感にならなければなりません。
  • 家族への援助や社会復帰に向けた支援 精神科訪問看護では、利用者だけでなく家族に対する援助や利用者と家族の関係性に関する支援も大切になります。また、社会資源を活用した支援を通じて、社会復帰に向けた取り組みもおこないます。

精神科訪問看護の利用者とは?

精神科訪問看護を利用するには精神科または心療内科を受診していることや指示書が必要になるなどのいくつかの条件があります。詳しくご紹介します。

精神科訪問看護の対象疾患

精神科訪問看護を受けるには、精神科または心療内科を受診している必要があります。対象疾患としては、統合失調症、うつ病、アルコール依存症、摂食障害などさまざまな症例に対応しており、精神疾患とみなされる病名が必要になります。また、就労中でも利用可能で、年齢制限もありません。

精神科訪問看護指示書の交付を受けている

一般的な訪問看護では「訪問看護指示書」が必要ですが、精神科訪問看護のサービスを受けるには、主治医からの「精神科訪問看護指示書」の交付が必要になります。また、取得にあたっては、訪問看護ステーションが依頼して精神科訪問看護指示書を取得してもらう場合が多いようです。

精神科訪問看護で働く注意点

精神科訪問看護は一般的な訪問看護とは異なり、注意する点にも違いがあります。ここでは、どんなことに注意が必要なのか詳しく説明します。

患者だけでなく看護者の安全管理にも配慮する

利用者の安全管理だけでなく看護者の安全管理に関しての配慮も重要になります。利用者の安全管理では、精神科で発生する医療事故の1/4を占めるといわれている自殺や自傷行為を防ぐことが求められています。うつ病や統合失調症などの影響によって自殺願望や希死念慮を抱く方も存在するため、利用者に合わせたケアが必要になります。

次に看護者の安全管理では、暴力や暴言などの他害行為に備える必要があります。精神疾患を抱える利用者の中には、自分の感情コントロールがうまくできない方がいます。

気に入らないことがあり、殴られてしまうことも時には存在するため、身を守るためにも安全管理には十分に配慮しましょう。

利用者の尊厳を尊重する

精神科看護の定義において個人の尊厳と権利擁護を基本理念としていることをお伝えしました。これまでの精神科看護を振り返ると、人権が尊重されてきたとはとても言いがたい歴史的経緯があり、いまだ精神疾患に対する偏見も存在します。

利用者の尊厳を大切にすることが精神科看護において何よりも大切になります。

精神科訪問看護で働く条件とは?

精神科訪問看護で働くために必要なスキルはあるのでしょうか?

一般の訪問看護と比べ精神科訪問看護では精神疾患に関する知識が必要になります。精神症状には妄想や幻聴などの症状もあり、一般的な訪問看護では、携わらない領域のケアも必要になります。

精神科での経験が必要な場合あり

精神科訪問看護の求人をみると、精神科での勤務経験1年以上などの応募条件を設定している事業所も存在します。これは、「精神科訪問看護基本療養」の算定要件に、精神疾患を有する者に対する看護について、相当の経験を有する必要があると明記されているためです。

相当の経験を有するとは、以下のいずれかに該当する看護職員となります。

  • 精神科を標榜する保険医療機関において、精神病棟又は精神科外来に勤務した経験を1年以上有する者
  • 精神疾患を有する者に対する訪問看護の経験を1年以上有する者
  • 精神保健福祉センター又は保健所等における精神保健に関する業務の経験を1年以上有する者
  • 国、都道府県又は医療関係機関団体等が主催する精神保健に関する研修を修了している者

未経験者に関しては、算定要件を満たすために所定の研修を修了しなければならないため、実務経験を設定されている背景があるようです。

精神科訪問看護は地域医療に不可欠な存在!

精神疾患を有する方は年々増加しており、地域包括ケアシステムの推進によって入院から在宅へと治療の場も変化しています。精神科における訪問看護の役割は重要で地域医療になくてはならない存在となっています。精神科訪問看護に興味がある方は、単発バイトを利用し、どんな仕事かを経験してみるとミスマッチを防げます。

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この記事を書いた人

Iharaのアバター Ihara 運営者

15社以上のオウンドメディア・コンテンツの企画・戦略設計の経験を持つマーケティングアナリスト。大学在籍時に中小企業診断士一次試験突破。ASO・SEOを中心に活動しており、アプリ・インフルエンサーマーケティングにも精通がある。
介護・看護職のための単発バイトメディア「カイテク・メディア」の編集長。
介護・看護職のよりどころ「ケアマガジン」の運営者。

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