「初めての夜勤介護が自分にできるか心配」。利用者の命を預かる現場での夜勤は、誰もが不安になりますよね。しかし、夜勤の介護は注意点を押さえておけばトラブル時も冷静に対応可能です。注意点は以下の5つです。
- 睡眠不足になる
- 職員が少ない
- 患者の容体が急変する
- 勤務時間が長い
- 不規則な勤務で体調を崩す
夜勤をするときの注意点
夜勤で介護現場に勤めるときは、いくつかの注意点があります。日中と比べて人数が少ない中での介護業務は、患者の容体が急変したときにも冷静に対応しなくてはなりません。ここでは夜勤の注意点を5つ紹介しますので、まだ夜勤を経験したことがないひとはしっかり対策してから本番の夜勤に臨んでください。
睡眠不足になる
夜勤は2交代制の場合は16時間、3交代制でも8時間の勤務になります。途中で仮眠がどれくらい取れるかは現場ごとに違うので、事前に先輩などから教わっておくことが大切です。たとえば2交代制の現場であれば、原則2時間の仮眠が取れます。しかし、患者の急変や転倒などのトラブルが起こったときには、全く睡眠がとれないことも考えられます。前日にしっかり睡眠を取るようにして、本番では睡眠時間が取れない可能性も考えておきましょう。
夜勤は、2交代制の場合は16時間勤務と長くなるため、2時間の睡眠時間が与えられます。ただし、現場によって仮眠が取れる時間や場所が大きく異なるので、先輩に教えてもらうなどして確認しておきましょう。
職員が少ない
夜勤は日勤よりも職員数が少ないです。なぜなら、日中は入浴やレクリエーションがあるため職員数が大勢必要なのに対し、夜勤は食事介助や就寝・起床の介助が中心で最低限の人数で足りるからです。厚生労働省の決めたルールでは、特別養護老人ホームの場合、利用者25名につき夜勤介護担当者1名が必要と定められています。施設によってはひとりで夜勤を担当することがあります。
不測の事態があってもだれにも頼れないため、事前にマニュアルを読んだり、トラブル経験がある先輩の話を聞いて備えましょう。夜勤は入院患者が寝ているため日勤よりも人数が少なく済みますが、
患者の容体が急変する
患者の容体が急変することは、夜勤で最も冷静な対応が求められる状況です。夜勤は何もなければあっさり終わりますが、患者の容体が急変すると迅速な対応が必要になります。患者の様子をしっかり観察し、必要であれば心臓マッサージやAEDを使用して救急車の到着を待つことが大切です。患者の急変は、さまざまな要因によって起こりますので事前に緊急時の対応をマニュアルで確認しておきましょう。患者が病院に着くまで症状を悪化させないよう心がけてください。
患者の容体が急変することは、夜勤で最も大変な状況です。混乱して冷静な対応ができなくなることのないよう、
マニュアルを読んでおく、AEDの場所や使い方を調べておくなどの準備をしておきましょう。
勤務時間が長い
夜勤で介護現場に勤務することの注意点に勤務時間の長さがあります。長時間労働は、無意識のうちに生活リズムの乱れや疲労の蓄積などにつながるので、注意が必要です。勤務時間は2交代制であれば16時間、3交代制であれば8時間になります。
介護施設の85%以上が2交代制をとっていますが、2交代制であれば途中で2時間の睡眠時間があります。夜勤明けの日とその翌日は休みになりますので、そこで夜勤の疲れを癒してください。夜勤による長時間労働は、知らないうちに疲れがたまったり生活リズムが乱れたりします。
夜勤明け後は休みがありますので、そこでしっかり休んで今後の勤務に疲れを残さないことが大切です。
不規則な勤務で体調を崩す
ほとんどの介護職員は日勤と夜勤を繰り返しています。日によって働く時間帯が違うと、昼夜逆転の生活になって体調を崩すことがありますので、体調管理が大切です。
具体的には、夜勤明けの休日で朝方の生活に戻すのがおすすめです。夜勤の生活サイクルがそのままだと、日勤時に仕事でミスが出たり、病気にかかったりします。朝方生活に戻すことと、栄養のある食事や運動で体調を崩さないようにしてください。
夜勤の仕事内容
夜勤未経験のひとは、仕事内容をまだ知りませんよね。基本的には以下の仕事内容になりますので、覚えておきましょう。
- 食事の準備や介助
- 排泄の介助
- 就寝と起床の介助
- 巡回・ナースコールへの対応
- 緊急時の対応
上記の仕事内容は、どこの介護施設でも同じなので、夜勤の介護が未経験で不安なひとはこの5つの仕事を覚えておけば問題ありません。
食事の準備や介助
食事の準備や介助は、夜勤の現場に着いたら真っ先にする仕事です。日勤担当からの引継ぎを終えると、すぐに食事の準備になります。食事は施設が込み合ったり、食事の数が足りなくなったりしないよう細心の注意が必要です。介護職員ひとりにつき利用者2~3人の介助をしますので、利用者ごとの食べ終わるスピードの差や、薬を服薬しているひとの把握が必要です。
食べ終わったら早く部屋に戻りたい利用者もいますので、ひとりひとりの体調や年齢を見て判断する必要があります。利用者全員が食事を終えたら、日勤担当者が帰宅して夜勤担当者と入れ替わる施設が多いので、
慣れないうちは日勤担当者に手伝ってもらうのもありですよ。
排泄の介助
排泄の介助も夜勤担当者には欠かせない重要な仕事です。介護施設には、自分でトイレに行けないひとや、定期的な排泄状況の確認が必要なひとがいます。一人ひとりの体力を覚えておき、スムーズに排泄させてあげましょう。具体的な仕事内容は、おむつの交換とトイレまでの付き添いです。排泄介助は、時間や手間をかけすぎるとほかの利用者まで手が回らなくなることがあります。
利用者に関する排泄の記録があれば、しっかりと確認しておくことが大切です。排泄の介助は、介護をするのであれば避けては通れません。不慣れなうちは大変ですが、利用者はあなたの介助を必要としています。
まずは、一人ひとりの記録を見てどんな状況にも対応できるよう準備しましょう。
就寝と起床の介助
就寝と起床の介助は、夜勤担当者が行う仕事です。利用者によって寝る時間や起きる時間が違うので、時間と体力を使います。早いひとであれば朝5時に起きますが、朝食は7:00~7:30の施設が多いです。待ち時間ができることもありますので、行方不明にならないよう注意しましょう。また、就寝時は薬を服用しているひとが多いため、飲むのを手伝ってあげたり、トイレに連れて行ってあげたりする必要があります。
就寝と起床の介助は、寝る時間と起きる時間がみんな違うため、全員が就寝と起床を終えるまでは時間がかかります。
薬を服用しているひともいるため、利用者ごとの生活サイクルや体調に合わせた介助が大切です。
巡回・ナースコールへの対応
巡回やナースコールへの対応は、利用者が就寝した後に行います。中にはトイレに行けなくて困っているひとや、自分で寝返りが打てないひともいるため、気を抜けません。たとえば、最近体調がよくないひとや寝つきが悪いひとであれば、特に注意して見てあげる必要があります。寝ているときの表情や呼吸の状態など、近づかなければわからないこともあるので注意が必要です。
万が一体調が急変したときやナースコールがあったときは、病院に連絡して救急車を呼ぶ必要があります。夜勤担当になったときは、利用者が就寝しても巡回やナースコールへの対応がありますので油断できません。
最後まで気を抜かずにひとりひとりの表情や呼吸を観察してあげることが大切です。
緊急時の対応
緊急時の対応については、必ず事前に調べておきましょう。介護施設は必ず緊急時のマニュアルを備え付けしてあるので、時間のあるときに読み込んでおくことが大切です。よくある緊急事態は、利用者の容体急変や転倒によるけがです。これらの緊急対応は、バイタルと呼吸、意識状態の確認が基本になります。
これらの確認が終わった後は、看護師がいれば看護師に連絡し、いない場合は病院に連絡して救急車を呼んでください。緊急時の対応は準備していないと何もできないまま手遅れになります。
必ず事前にマニュアルを読んでおき、自分の勤務している施設における緊急時の対応を知っておきましょう。
夜勤の負担を軽くするためにできること
夜勤は生活リズムの乱れにつながりますし、勤務時間が長いので負担が大きいです。そこで、夜勤の負担を軽くする方法を説明します。夜勤の負担に悩んでいる方は、以下の3点を意識的に行ってみてください。
- 普段の睡眠をしっかり取る
- 夜勤明けの昼間をいつもと同じ生活スタイルにする
- 食事に気を付ける
夜勤の負担を軽くして、可能な限り生活リズムを安定させながら健康的な介護職ライフを送ってください。
普段の睡眠をしっかり取る
普段の睡眠をしっかり取ることで、夜勤の負担を軽くできますよ。夜勤は体力勝負なので、普段から睡眠をしっかり取って疲れをためないようにすることで乗り切りやすくなるのです。最低でも普段から7時間以上睡眠を取ることをおすすめします。十分な睡眠時間を取ることで、仕事のパフォーマンスを高めることが可能です。
逆に休日の寝だめは控えましょう。睡眠時間にむらがあると、生活リズムが乱れて集中力が低下します。普段の睡眠をしっかり取ることで、夜勤の負担を軽減できます。夜勤は拘束時間が長く人数も少ないので、しっかり準備して臨むのがベストです。
普段の睡眠をしっかり取って、業務に支障が出ないようにしてくださいね。
夜勤明けの昼間をいつもと同じ生活スタイルにする
夜勤明けの昼間はいつもと同じように過ごしましょう。夜勤から帰ったらおそらく昼前になるので、そこから2~3時間の睡眠を取って、その後はいつもの休日と同じように過ごしましょう。夜勤明けは睡眠不足で眠いひとも多いでしょうが、ここで寝すぎると生活リズムが乱れて日中の仕事に集中できなくなります。夜にいつもと同じように睡眠を取るよう心がけて、日中は寝すぎないようにしましょう。
夜勤明けの昼間に少しだけ寝ることで、夜勤でたまった疲れが取れます。目覚ましをセットするなどして、長時間寝てしまわないようにしましょう。
夜勤明け後の休日で生活リズムを戻し、また普段の仕事に戻れるよう工夫してみてください。
食事に気を付ける
夜勤中は食事にも気を付けましょう。夜勤は食事の時間帯が不規則になります。栄養不足で、夜勤後半の疲労や集中力が低下しないようにすることがポイントです。菓子パンなどの糖質が多いものを食べすぎると、体が重くなって眠気が起こります。
おすすめは野菜や果物、ゆで卵などでビタミンとタンパク質をバランスよく摂ることです。食事に気を使って、体調を整えてください。夜勤中の食事は仕事のパフォーマンスに大きく影響します。長時間労働の夜勤は、菓子パンやおにぎりなどで簡単に済ませようとするひともいますが、
栄養バランスを考えた食事で集中力を維持しましょう。
夜勤は注意点を押さえておけば初めてでも大丈夫
介護で夜勤を担当するときの注意点と、主な仕事内容を紹介してきました。以下に夜勤の注意点を掲載します。
- 睡眠不足になる
- 職員が少ない
- 患者の容体が急変する
- 勤務時間が長い
- 不規則な勤務で体調を崩す
夜勤は注意点をしっかりと押さえておけば、利用者の容体急変などに緊急事態が起こっても冷静に対応可能です。まだ夜勤が未経験で不安があるひとは、この記事で紹介したことを参考にして、ぜひ夜勤を乗り切ってください。