介護職員の多くが、かまってちゃん高齢者との関係に悩んでいるのではないでしょうか。かまってちゃん高齢者への対応は、適切な方法で対応しないと徐々にエスカレートします。
かまってちゃん高齢者の特徴と原因
職員の多くが悩んでいるかまってちゃん高齢者には、原因があります。
- 認知症の原因
- 精神的な原因
- 健康面の原因
特徴と共に解説します。
認知症の原因
認知症に原因があると、感情や欲望を抑制する前頭葉の機能が低下します。そのため、話し相手がいない場合は、おしゃべりかまってちゃん高齢者になりやすいです。特に、施設で他の利用者との関わりがないと介護職員へ依存することが多いです。
精神的な原因
社会的地位のある高齢者が必要とされなくなると、自己顕示欲が高まり、自分をアピールするかまってちゃん高齢者になりやすいです。また、過去の記憶を美化して話すこともあります。
健康面の原因
精神的な原因と同じように、体の衰えや病気などで、他者に必要とされていないと感じてしまうのも原因の一つです。健康面が原因の場合は、心配されたがりかまってちゃん高齢者になりやすいです。
かまってちゃん高齢者の対応方法
かまってちゃん高齢者の対応は、適切に行わないと逆効果になる可能性があります。スタッフの負担軽減だけでなく、利用者を精神的に安定させるためにも、正しい対応方法で接してください。
ここでは、4つの手順でかまってちゃん高齢者の対応方法を紹介します。
- 時間をかけて関わる
- 再アセスメントを行う
- 職員間で情報共有を行う
- 家族を交えて対応方法を考える
かまってちゃん高齢者の対応は、一人では解決することが難しいので、職員全員で協力して解決を目指しましょう。
1.時間をかけて関わる
まずは、一度時間をかけて関わることから始めます。すでに良い関係性を気付けている職員の場合でも、落ち着いている時間や対応方法などを確認しましょう。また、介護職員によっては、他の利用者とも関わらないといけないと対応が疎かになっている場合もあります。
そのため期間を決めて、かまってちゃん高齢者と関われるようにしましょう。
かまってちゃん高齢者と時間をかけてゆっくりと対応することで、落ち着かれるかもしれません。
2.再アセスメントを行う
改めて時間をかけて関わりを持ったあとに、再アセスメントを行います。高齢者には、何か不安になる理由があるはずです。落ち着きがなくなる時間や状況がわかるように記録を確認したり、実際に関わりを持って職員に確認しましょう。
かまってちゃん高齢者になる原因を仮説して、解決する方法を考えると解決に繋がります。かまってちゃん高齢者になる原因は、いくつあっても構いません。
解決する方法を行って効果がない場合は、改めて仮説を考えるところから繰り返します。
3.職員間で情報共有を行う
再アセスメントが終わったら、職員で情報共有をします。ケア会議が行われるタイミングであれば、対応方法の意見を聞くのも良いかもしれません。ただし、対応方法が決まったあとは決められた対応方法を統一してください。職員によって対応方法が違うと、効果がわかりません。
対応方法を統一することで、かまってちゃん高齢者と良好な関係が築けることでしょう。
4.家族を交えて対応方法を考える
かまってちゃん高齢者の状況によっては、介護職員だけでは解決できない場合もあります。家族に協力を依頼する場合は、いきなり相談してはいけません。まずは家にいるときの様子を確認したり、施設での過ごし方を伝えたりなど、コミュニケーションを取ることから始めましょう。
家族と関わる職員はまずは固定した方が良いです。家族に不快感や不安にさせないように上手く関係性を築いてください。
かまってちゃん高齢者のNG対応
かまってちゃん高齢者と関わる上で、やってはいけない対応があります。
- 無視をする
- 否定・反論をする
かまってちゃん高齢者の対応を考えるときに、NG対応を参考にして適切な対策を考えるようにしましょう。時間がないからとNG対応をしてしまうともっと過激な行動になる場合もあります。
無視をする
かまってちゃん高齢者との関わりにストレスを感じてしまい、無視をしてはいけません。反対によりかまってほしくあなたと関わろうとする場合があります。かまってちゃん高齢者の気持ちを沈めないためにも、
無視するのではなく数回うなずき、会話を切り上げるようにしましょう。
否定・反論をする
かまってちゃん高齢者の話を聞いていると、否定したり、反論したりする介護職員がいますが、逆効果です。反論や否定をすると口論になってしまったり、お互いイライラして話が終わりません。
否定や反論をしたい気持ちはわかりますが、「それはすごいですね」や「素敵ですね」、「知らなかったです」など相手が気持ちよく話ができるように相づちをしましょう。
利用者に必要なケアの量を提供しよう
介護職員の中には、利用者と平等に関わりたいと感じていて、かまってちゃん高齢者に長く関わっていられないと感じている人がいます。その考え方は素晴らしく、気持ちを尊重しなくてはいけませんが、利用者ごとに必要な量のケアを提供しないといけません。
利用者に必要なケアは、利用者の状況や状態により変化します。例えば、熱発や体調不良の際は、いつもより関わる時間が必要です。他にも自立している方に比べて、介助が必要な方と関わる時間は長くなります。もちろん、自立している方の些細な変化に気付くためにも、日頃から関わりを持つことは重要です。
利用者全員と関わることは大切ですが、今介助を必要とされている方に対しては、必要な量のケアを行えるようにしましょう。
よくある質問
ここからは、かまってちゃん高齢者に関するよくある質問を紹介します。高齢者と関わる上でも重要ですので、コミュニケーションを取る際に参考にしてください。
高齢者がネガティブな発言をしたらどう対応したらいいですか?
ネガティブな発言が多い高齢者は、体の衰えや仲の良い友達が亡くなってしまったりと気分が落ち込んでいます。そのため、ネガティブな発言に対して「頑張ってください」や「そうですね」と返事をしてはいけません。
ネガティブな発言をしている方に対しては、簡単な仕事をお願いしたり、他の人に頼りにされているような対応をするのが効果的です。
文句ばかり言う老人の対処法は?
文句ばかり言う老人の対処方法は、「否定をしない」「感謝を伝える」「ときに謝る」などが効果があります。しかし、それでも解決しない場合は、介護サービスの利用を検討したり、専門家に相談してください。
高齢者とのコミュニケーションで留意すべき点は?
高齢者とのコミュニケーションを円滑に行うためには、3つのポイントがあります。
- ゆっくりとはっきり話す
- 聞き上手になる
- 目線を合わせる
はじめに高齢になると高い音が聞き取りにくいことに注意してください。こちらの言っていることを理解してもらわないとコミュニケーションを取ることができません。次に、話してばかりではなく、高齢者の話に耳を傾けましょう。興味を持ってもらっていると感じてもらうことが重要です。
また、話をするときには、相手と同じ目線の高さになることも気にしてください。特に車椅子で過ごしている方の場合は、上から命令されると嫌な気分になります。
言語コミュニケーション以外の非言語コミュニケーションも重要になります。
かまってちゃん高齢者の気持ちに寄り添う介護をしよう
かまってちゃん高齢者のケアは、一人では解決できずストレスを抱えてしまう人も多いでしょう。かまってちゃん高齢者の問題解決は、利用者本人のためだけでなく、職場の雰囲気が良くなることにも繋がります。
かまってちゃん高齢者以外にも、対応が困難な方がいる場合は、介護職員全員で解決できるような関わりを持ち、適切な介助を行いましょう。