より良い介護を目指す!「介護観」の必要性と具体的な形成方法を解説

介護業界で関わる中で、入試や就職の面接時に介護に対する価値観を問われたことがあるのではないでしょうか。
介護に対する思いや取り組みを「介護観」といいます。介護観を持つことで、より介護利用者に寄り添ったサービスを提供することができます。

今回では、介護観の意味について説明し、なぜ介護観が問われるのか、そしてその価値観を明確にすることが重要な理由をご紹介します。

目次

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介護観の意味とは?

まず、「介護」の基本的な意味について考えてみましょう。

「介護」には明確な定義はありませんが、「高齢者や障害などの原因で日常生活に支障をきたす方に対しての支援」を指します。この定義を基に、「介護観」とは介護に対する考えや、大切にしている価値観、本質を指すものと言えます。

価値観は人それぞれ異なるため、介護に対する目的や趣旨も多様です。

介護の基本概要

「介護の3原則」という基本的な考え方をご存知でしょうか。1982年に福祉先進国のデンマークで提唱され、別名「高齢者介護の3原則」とも称されています。

この3原則は以下の通りです。

  • 生活の継続性の維持
  • 自己決定の尊重
  • 残存能力の維持・活性化

これは、介護が必要となってもできる限り今までの生活を継続し、高齢者の自己決定を尊重し、残っている能力や機能を維持・活性化することを目的としています。

介護を受ける側の尊厳を最優先としており、介護観を形成する上での重要なポイントと言えます。

介護保険の基本的な考え方

日本では高齢者の増加を背景に、介護保険制度が2000年に施行されました。この制度は、介護を社会全体で支えることを目的としており、約606万人の方が利用し、高齢者を支えています。

介護保険の加入者は第1号被保険者(65歳以上の方)と第2号被保険者(40歳から64歳までの医療保険加入者)の2つに分類されます。保険料の支払い義務は両者に課せられていますが、サービス対象者(受給者)は原則として第1号被保険者のみです。ただし、第2号被保険者は特定の疾病によって介護認定を受けた場合、サービスを受けることができます。

制度の運営は、加入者の保険料と公費で賄われており、要介護や要支援の認定を受けた方は、その介護レベルに応じた介護保険サービスを受けることができます。

介護観が問われる場面を紹介

介護観はいったいどんな場面で求められるのでしょうか?

ここでは、必要な場面ごとに対策をお伝えします。

介護学校の入試|小論文・作文

高校の推薦入試では、面接のほかに作文や小論文が求められることが多いです。一般入試でも取り入れている学校も多く、読解力や論述力が試されます。介護学校では、専門性の高いテーマが与えられることが多く、出題パターンは以下の通りです。

  • 課題作文型
    • これは最もポピュラーな形式で、課題に対して自分の意見を述べます。
  • 課題文読解型
    • 課題文を読んだ後、設問に答えたり意見を述べます。
  • 資料分析型
    • アンケート調査や統計資料を分析した後、自分の意見を述べます。

対策としては、過去問を分析して出題傾向を掴み、時間内に書き切ることを意識し、構成を考えてから書き始めるようにしましょう。

介護学校の授業編|レポート

介護学校で介護について学ぶと、介護施設での実習を経験します。実習終了後は、レポートの提出が求められ、介護観について問われることもあります。ここではレポートの書き方について紹介します。

レポートの構成は、一般的に「序論・本論・結論」の3部構成となります。

序論

レポートの導入文を記載し、テーマや目的を明らかにします。その全体に占める割合は10~20%が望ましいとされています。

本論

レポートの中心部分で、序論で触れたテーマに対する根拠や主張を記述します。その割合は60~80%です。

結論

まとめとして、本論で述べた内容を簡潔にまとめ、今後の展望も記述すると良いでしょう。構成の割合は10~20%となります。

就職活動編|面接

就職採用試験を受ける際、面接は多くの企業で行われるのではないでしょうか。自己PRや志望動機などの頻出質問と同様に、施設側は求職者の介護観を非常に重要視しています。

施設の運営方針とのマッチングを確認し、求めている人材かどうかを判断するため、介護観に関する質問が多くの施設で行われます。特に学生など、介護利用者との接触が少ない場合、答えにくいかもしれませんが、自分の介護に対する考えを明確にしておくと、質問された際に落ち着いて答えられるでしょう。

介護観が必要といわれる5つの理由

上記では介護観が問われる場面について解説しました。

なぜ、介護観を持つことが必要なのでしょうか?

結論を申し上げると、必要な理由は以下になります。

  • 介護利用者にとってより良いサービスを提供するため
  • 自己成長につながりやすい
  • 採用担当者が必要な人材かを見極められる

ここでは必要な理由を5つに分けて紹介します。

介護サービスの質が向上する

与えられた業務をただ行う場合と、目的や思いを持って仕事を行う場合、どちらがサービス向上につながると思いますか?多くの方が後者を選ぶのではないでしょうか。

介護観を持って働くことは、生産性の向上も期待できるだけでなく、利用者への介護サービスの質もより細かくなるでしょう。

施設の方針とマッチングしているか見極められる

仕事をする際、施設の方針に従って働くことが求められます。しかし、自分の価値観が施設のものと必ずしも合致しているわけではありません。運営方針が利用者本位でなく、施設の利益を重視している場合も考えられます。そんな時、自分の価値観を伝えることはもちろん、合わないと感じた際には転職を考えることもあるでしょう。

介護観を持つことで、盲目的に業務に従事することなく、自分の判断で行動でき、現在の職場が自分に合っているかを判断できるでしょう。

長期的に業界で働くことができる

困難や課題に直面した際、介護観をもって取り組むことは大きな原動力となります。課題解決を重ねることで、達成感を得られ、自信をもって業務に取り組むことができます。

長期的に介護業界に携わる上で非常に重要な要素となります。

キャリアアップにつながる

介護業界でキャリアアップを目指す際、明確な目標を持つことで実現に近づくでしょう。

やる気の向上や知識の定着など、多くのメリットがあります。

介護利用者の満足度向上

介護における利用者とのコミュニケーションは欠かせません。ただ業務をこなしているだけでは、こちらの意図に関係なく、適切な介護を受けていないと感じる利用者もいます。その結果、施設の評価が口コミを通じて低下することも考えられます。

利用者に親身な介護を提供することができ、利用者の満足度向上も期待できるでしょう。

介護観を明確にする3つの手法

介護観を明確にすることは大切だと言われても、「うまく表現できない」「利用者に寄り添っているか分からない」「生活のために働いている」と感じ、自分の価値観が適切かどうか分からず悩むこともあるでしょう。

そこで、明確にするためのポイントを3つの手法でお伝えします。

他の介護職の意見を参考にする

介護観を形成する際、他の介護職の方の「どんなことを心がけているのか」「仕事を行う上で大切にしていること」などの意見を聞く機会は非常に役立ちます。積極的にコミュニケーションをとることは、良好な人間関係の構築や、利用者主体の介護の実現に繋がると考えられます。

筆者の介護観を紹介すると、「介護で大切にしていることは、相手の気持ちを理解し、どんな時でも尊厳を守りながら自立支援を行うこと」です。このポイントは利用者に寄り添うことを重視していますが、これはあくまで1例であり、正解というわけではありません。

人はそれぞれ異なる価値観を持っています。他の方の意見を参考にして、自身の介護観を形成しましょう。

自分自身が大切にしていることを考える

自分自身を見つめ直すことには多くのメリットがあります。介護業界は人手不足で、日々の業務に追われることが多いですが、忙しい時こそ、自己分析を行うことで、自身の介護観が明確になるのではないでしょうか。

自己理解が進むことで、目標の明確化や成長へとつながります。

利用者の気持ちになり考える

自分を見つめ直すことを推奨しましたが、相手の立場に立つことも非常に重要です。

介護は、利用者にサービスを提供するものであり、利用者の気持ちに寄り添っているかを見極める必要があります。自分がその立場であったらどう思うかを想像することも大切です。

介護を行う立場だけで考えるのは避けるべきで、例えば「介護保険制度」であれば利用者本位の考え、「介護3原則」を取り入れれば自己決定の尊重が可能となります。

介護観を持つことでキャリアアップや利用者満足度の向上につながる

介護観を持って働くことは、利用者が望む介護を実現するために重要であるという点を解説しました。これは自身のキャリアアップにも繋がり、仕事の目的も明確にすることができます。他の方の意見や利用者の気持ちに寄り添うことで、より良い介護サービスの提供が期待できるでしょう。

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この記事を書いた人

Iharaのアバター Ihara 運営者

15社以上のオウンドメディア・コンテンツの企画・戦略設計の経験を持つマーケティングアナリスト。大学在籍時に中小企業診断士一次試験突破。ASO・SEOを中心に活動しており、アプリ・インフルエンサーマーケティングにも精通がある。
介護・看護職のための単発バイトメディア「カイテク・メディア」の編集長。
介護・看護職のよりどころ「ケアマガジン」の運営者。

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