現在介護福祉士として働いている方の中には、さらなるスキルアップを目指し、資格取得を検討されている方もいらっしゃるかもしれません。介護福祉士は介護業界における唯一の国家資格ですが、キャリアアップを目指す際に他の資格を取得することが非常に重要になってきます。
介護における介護福祉士の役割とは?
介護福祉士は、介護に係る一定の知識や技能を習得していることを証明する唯一の国家資格になります。介護福祉士には、介護現場において専門性をもって、チームケアを推進する際のリーダーとしての役割を担うことが期待されています。
参考:介護福祉士の役割
介護福祉士を持っていると取れる資格3選
介護福祉士がおこなう業務には、身体介護や生活援助などの介護業務を行いながら、介護ニーズのある方々の生活に向き合い、その方の生き方や生活全体の支援をおこないます。
介護を必要とされる方が増える一方で、介護福祉士のニーズは高まりを見せていますが、さらなるスキルアップに向けて資格取得を検討される方もいるでしょう。ここでは、介護福祉士を持っていると取れる資格を3つ厳選しましたのでご紹介します。
ケアマネジャー(介護支援専門員)
介護福祉士からケアマネジャー(介護支援専門員)を取得するには、介護福祉士としての実務経験が5年以上(900日以上)必要になります。介護福祉士の資格を取得してから実務経験を積み、介護支援専門員実務研修受講試験に合格する必要があります。以前までは、一部の科目が免除されていましたが、見直しがあり、現在科目免除はありません。
ケアマネジャーの合格率は10~20%と低く、更新研修もあるのでハードルが高く感じる方も多いようです。
裏を返せば取得難易度が高いため、取得価値が高いとも言えます。収入アップも期待できるので取得を強くおすすめします。
認定介護福祉士
認定介護福祉士をご存じでしょうか。より専門的な知識を習得したことを証明する民間資格になり、介護福祉士の上位資格に位置付けられる資格です。
資格取得の流れをステップごとに解説します。
ステップ1:前提条件
- 介護職員を対象とした現任研修の100時間以上の研修歴を有していること
- 研修実施団体の課すレポート課題または受講試験において一定の水準の成績を修めていること(免除の場合有)
- 介護福祉士資格取得後に実務経験5年以上
ステップ2:養成研修受講
- 認定介護福祉士養成研修を受講し、全22科目を単位取得する必要があります。
ステップ3:認定介護福祉士 認定申請書提出
- 認定申請書を提出
ステップ4:認定証の交付
- 機構による審査を経て認定証を交付
ステップ5:認定介護福祉士 認定・登録手続き
- 認定証受取・登録申請
ステップ6:登録完了
- 認定介護福祉士 登録証交付 認定介護福祉士登録名簿掲載
上記のステップをすべてクリアし晴れて認定介護福祉士となることが出来ます。
参考:認定介護福祉士になるには
認知症ケア専門士
認知症ケア専門士は、認知症ケアに関する知識と技能、倫理観を備えた専門技術士を養成するために2005年に一般社団法人日本認知症ケア学会により設立された民間資格です。医療や介護において認知症高齢者が増える昨今、認知症への対応は急務となっています。
この資格を取得すると、専門的なエビデンスに基づいた認知症利用者のケアができるようになるため、職場においても重宝される存在となるでしょう。
介護福祉士からスキルアップにつながる研修・資格4選
介護福祉士から取れる資格についてご紹介しましたが、他にも介護福祉士からスキルアップにつながる資格は数多く存在します。スキルアップにつながる資格を次は解説します。
喀痰吸引等研修
喀痰吸引等研修は、介護職員が「痰の吸引」や「経管栄養」をおこなえるよう、スキルを習得する研修になります。介護福祉士実務者研修を修了された方は、喀痰吸引等研修(第一号・第二号研修)における基本研修が履修免除となります。
国家試験合格後に介護福祉士として医療的ケアを実施するのであれば、登録喀痰吸引等事業者において実地研修を実施すると取得できますので検討してみてはいかがでしょうか。
一部の医療行為ができるようになることで看護師負担の軽減など施設において貴重な人材へと成長するでしょう。
参考:研修カリキュラム概要
精神保健福祉士
精神保健福祉士は、精神に障がいがある方に社会復帰のための助言や日常生活を支障なく営めるようサポートをおこなう仕事です。医療・保健・福祉にまたがる国家資格で介護福祉士から精神保健福祉士になるには、精神保健福祉士国家試験に合格する必要があります。
介護福祉士を持っていても優遇される訳ではありませんが、取得すると介護に限らず幅広い分野で活躍できます。取得ルートについては、学歴や相談援助の実務経験の有無などによってさまざまです。詳しくは厚生労働省の精神保健福祉士についてをご参照ください。
参考:精神保健福祉士について
社会福祉士
社会福祉士も介護福祉士からのキャリアアップにおすすめの資格です。介護福祉士として実務経験がある場合は、育成カリキュラムの一部が免除される場合があります。しかし、指定科目の履修を終えていない方の場合は、必ず養成施設へ通学しなければなりません。
働きながら資格取得を目指す場合には、通信制の養成施設も存在しますのでご自分の環境に合ったルートを選択しましょう。また、社会福祉士の国家試験の合格率は、30%程度といわれており、介護福祉士の合格率に比べると取得難易度が高いようです。
取得は容易ではありませんが、持っていると職域が広がり職場での評価も向上するでしょう。
参考:[社会福祉士国家試験]:公益財団法人 …社会福祉振興・試験センター
社会福祉主事任用資格
社会福祉主事任用資格とは、大学や短期大学において厚生労働大臣が指定する科目のうち3つ以上を履修して卒業した場合や都道府県等の研修などによって取得することができます。
社会福祉に関する一定の知識を習得する際に役立ちますが、「主事」とは公務員を指す呼び名のことで、社会福祉主事は行政機関で福祉職に就くための「条件」という位置付けです。特養においては、施設長になるための要件に「社会福祉主事の要件を満たすもの」と記載されています。
今後福祉職の公務員として働きたい方や特養の施設長を目指す方などキャリアビジョンが決まっている方は取得を検討するとよいでしょう。
介護福祉士取得により科目免除になる資格
介護福祉士から新たな分野で働きたい方もいるのではないでしょうか。そんな時、「保育士」資格であれば、筆記試験が免除になります。
保育士の資格を取得するのに必要な試験は、全9科目から構成されていますが、介護福祉士の資格を持っている場合には、3科目(社会福祉、子ども家庭福祉、社会的養護)の科目免除となります。
参考:社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士資格所有者の免除
介護福祉士がキャリアップを目指すには?
「介護福祉士からスキルアップしたい!」「収入を増やしたい」など多くの方が現状からステップアップするために日々働いていると思います。ここでは、介護福祉士がキャリアアップを目指す手法についてご紹介します。
施設管理者などの役職を目指す
施設管理者や役職などを目指すと、介護施設におけるトップになるため、収入アップも期待できるでしょう。施設管理者の役割は、施設の管理や運営、人材及び業務マネジメント、収支マネジメントなど多岐に渡ります。
施設管理者になる要件を2例ご紹介します。
【特別養護老人ホームの施設長及び管理者の資格要件】
施設長の資格要件
- 社会福祉主事の要件を満たす者
- 社会福祉事業に2年以上従事した者
- 社会福祉施設長資格認定講習会を受講した者
管理者の資格要件
- 特になし
【介護老人保健施設の管理者の資格要件】
資格要件
- 介護老人保健施設の開設者は、都道府県知事の承認を受けた医師に当該介護老人保健施設を管理させなければならない。※都道府県知事の承認を受け、医師以外の者に管理させることができる。
参考:施設管理者(介護施設) – 職業詳細 – job tag – 厚生労働省
参考:施設長の資格要件等
より専門的な資格を取得する
これまでおすすめの資格について上記で紹介しましたが、資格取得をおこなうと手当などにて収入アップが期待できます。
キャリアアップを果たすうえでも資格を持っていると説得力が増すため、ぜひ資格取得に向けて行動しましょう。
高待遇の職場に転職する
現在の職場にて待遇に不満がある、昇給や昇進が期待できない場合には、より高待遇の職場への転職も有効な手段の一つです。
令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果をもとに施設別の平均給与についてみていきましょう。
- 介護老人福祉施設(特養):348,040円
- 介護老人保健施設(老健):339,040円
- 介護医療院:320,700円
- 認知症対応型共同生活介護事業所(グループホーム):291,080円
上記によると施設によって給与にも差がありますが、転職に不安をお持ちの方もいるでしょう。そんな時には、単発バイトアプリ「カイテク」であれば事前に就職先の情報を探れるかもしれません。
「気になる特養の働き方が知りたい」「グループホームってどんな感じ」といった事前に知りたい情報を1日からの勤務でお試しで働くことが出来ます。不安を取り除くためにもぜひ一度利用されてみてはいかがでしょうか。
参考:令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果
参考:介護単発バイトアプリ「カイテク」 | 介護・看護の有資格者限定
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介護福祉士から取れる資格Q&A
ここでは、介護福祉士から取れる資格についてよく聞かれる質問をご紹介します。
介護福祉士からリハビリ資格はとれるのか?
リハビリ資格には、「理学療法士」、「作業療法士」、「言語聴覚士」の3つの専門職が存在します。介護福祉士を持っていてもリハビリ資格の取得は、通常と同じルートを辿る必要があります。理学療法士、作業療法士、言語聴覚士のいずれも国家資格として国家試験に合格しなければなりません。
また、国家試験の受験資格には、厚生労働省指定の教育機関(専門学校・短大・大学など)で3年以上の学習期間を修了する必要があります。
介護福祉士にこれらの資格を取得することによって、より介護現場における必要性は高まるため、転職などを優位に進めることができるでしょう。
参考:理学療法士になるには
参考:作業療法士になるには
参考:言語聴覚士になるには
介護福祉士から看護師にはなれるの?
介護福祉士の方の中には、看護師へのキャリアチェンジを考える方もいるでしょう。現在、介護福祉士から看護師を目指す場合、学科免除などの優遇措置はありません。資格取得を目指す場合、最短でも3年はかかってしまいます。
厚生労働省は、養成課程の見直しを検討しており、「共通基礎課程」といわれる制度によって取得期間が3年から2年に短縮される可能性があるため、今後の動向に注目が集まっています。
医療介護福祉士は現在取得できない?
医療介護福祉士とは、別名「メディ・ケア・ワーカー」とも呼ばれ、一般社団法人日本慢性期医療協会が認定する民間資格になります。こちらの資格ができた背景には、介護施設における入所者の重度化に伴い、介護福祉士による医療的関与も求められることになることを見据え、2010年に資格制度がスタートしました。
カリキュラムの内容は、医学的知識の習得を目的とした講座になりますが、医療行為をおこなうことができる資格ではない点には注意が必要です。これまで医療介護福祉士資格についてご説明しましたが、実はこちらの資格、2023年現在において講座は開催されておりません。
キャリアップには資格取得がおすすめ!
資格を取得することは、キャリアアップに向けた取り組みとして周りからの評価はもちろん、転職にも有利になります。介護福祉士は介護のスペシャリストとして職場においても貴重な人材です。
しかし、現在の職域にとどまらず、さらなる収入アップにつなげるために他の資格取得に向けて行動してみてはいかがでしょうか。