【事例】訪問介護で起こるトラブルとは|苦情やクレームの対応と予防

訪問介護で起きたトラブルにお悩みではないでしょうか。訪問介護は1対1で利用者と関わるため、密室でのサービス提供が主となります。その結果、問題が表面化しにくく、ヘルパーが悩みを抱えがちとなります。

今回では、訪問介護のトラブル・苦情の事例や、その適切な対応や予防策について解説いたします。

目次

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【事例3選】訪問介護で起こるトラブル

訪問介護で起こるトラブルには、利用者の居宅で2人きりになる訪問サービスならではの事例があります。金銭トラブルやハラスメント、できないことの無理強いに代表される3つのトラブル内容を紹介します。

事例1.金銭トラブル・物がなくなる

「お金や物がなくなった」「買い物のおつりを受け取っていない」などの理由で、ヘルパーが盗んだと言われる事例があります。訪問介護ヘルパーは利用者の居宅に入ってサービス提供するため、何かを紛失したときに真っ先に疑われる立場と言えるでしょう。 

認知機能の低下や精神疾患などにより、実際には自分が移動させたお金や物をヘルパーが盗んだと思い込む利用者もいます。 

事例2.ハラスメントを受ける

利用者や利用者家族からのセクハラ、カスハラ(カスタマーハラスメント)もトラブルの代表です。ヘルパーは基本的に利用者と1対1、居宅という密室でサービスを提供します。そのため、利用者や家族から理不尽な行為を受けたり、心無い発言や不適切な発言をされたりする事例が見られます。 

ハラスメントを受けたヘルパーも、「自分のスキルが足りないからだ」「これくらい我慢しなければ」と考えてしまい、トラブルが表面化するまで発見しにくいのが特徴です。 

事例3.できないことを強引に頼まれる

介護保険サービスで提供できない行為を、強引に頼まれるケースも多くあります。訪問介護サービスでできない内容だと説明しても、「やってもらわないと困る」「事業所に秘密でやればいい」と理解してもらえず、断り方によっては怒ってしまう方もいます。 

ヘルパーができないことや具体的な行為は以下の通りです。 

ヘルパーができないこと 

  • 介護保険対象外の行為 
  • ケアプランに位置づけられていない行為 
  • 医療行為 

介護保険対象外の行為の例 

  • 利用者本人が使用しない部屋の掃除 
  • 換気扇の掃除、窓ガラス拭き 
  • 草むしり、ペットの世話 
  • 来客用の品物や家族のための買い物 
  • 遠方の店やデパート等、遠くでする買い物 

など 

ヘルパーができないことの詳細は以下をご覧ください 。

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【事例3選】ヘルパーに対する苦情・クレーム

次に、訪問介護で起きる苦情の代表的な事例を3つ紹介します。ヘルパーによる物の破損や窃盗、訪問忘れの他、靴を揃えないといった基本的なマナーの欠如も多く見られます。事例の内容を確認しましょう。

事例1.物の破損・窃盗

物の破損や窃盗に関する苦情の中には、実際にヘルパーが物を壊したりお金を盗んだりした事例も存在します。物損ではサービス提供で使用する小物や家電の他、貴重な調度品や置き物、物をぶつけたことによる壁の破損などがあります。 窃盗では、利用者の自宅に保管してある生活用の現金や、買い物代行時のお釣りを盗む行為が見られます。

窃盗は利用者からの信頼を失い、サービスの継続ができなくなる場合もあるでしょう。 

事例2.ヘルパーの訪問忘れ

ヘルパーの訪問忘れも苦情の一つに挙がります。一般的に、訪問介護のスケジュールは毎日異なります。サービスのキャンセルや追加も日常的に生じ、予定変更が起きやすいのが特徴です。そのため、ヘルパーがうっかり訪問を忘れてしまうこともあるでしょう。 

おむつ交換や食事介助など、衛生と生命維持を支える内容のサービスであれば、利用者の健康に大きく影響します。また、ヘルパーの訪問に合わせて準備や行動をしている方も多く、訪問忘れは利用者の生活リズムの乱れにもつながります。 

どのようなサービス内容であっても、ヘルパーの訪問忘れは利用者の不利益であることに変わりありません。 

事例3.仕事の質・接遇マナーの悪さ

ヘルパーの仕事の質やマナーの悪さも事例の多い苦情です。介護士としての知識や技術の不足だけでなく、「仕事が雑」といった支援に取り組む姿勢も含まれます。また、身だしなみや言葉遣いなどの基本的な接遇マナーに関するクレームもあります。 訪問介護は居宅という生活の場に関わるため、利用者の日常や人柄を尊重することが特に大切です。

「脱いだ靴を揃えない」「使用した物をもとの位置に戻さない」「雑巾をしっかり広げて干さない」などの一見細かい違和感が積み重なり、苦情に繋がります。 

トラブル・苦情発生時の対応と予防への対策

トラブルや苦情が発生したときは、事業所としての適切な対応が重要です。初期対応への不満がさらなるトラブル・苦情に繋がるケースもあるためです。また、苦情を引き起こさない取り組みや対策も大切になります。

対応|トラブル・苦情発生時にすること

トラブルや苦情が発生したときは、必ずヘルパー個人ではなく事業所として対応してください。訪問先で利用者から直接トラブル行為を受けたり苦情を言われたりした場合、上司に報告して対応してもらいます。身体に危害が及ぶ場合はまずその場から離れ、安全な場所から報告しましょう。 

事業所は、必要があれば会社の担当者にも一緒に動いてもらいます。また、全ての段階において記録を書面で残すことが非常に重要です。 

1.訴えの傾聴・記録 

トラブルや苦情が発生したときは、訴えをよく聴いてから対処することが大切です。いったん話を傾聴し、内容を確認・整理していきます。 

利用者からの訴えや要望を聞かず、一方的に「クレーム」として扱うことは避けてください。事業所の対応に不満を感じ、さらに大きな事態を引き起こす原因になるためです。 

言った・言わないのトラブルを回避するため、1対1ではなく他の同席者と一緒に行うとよいでしょう。

2.事実確認・記録

訴えの内容が事実なのか確認します。訴えの対象となっている人からも話を聴き、内容を確認・整理しましょう。その上で、話の内容が事実と合っているのか、異なるのかの調査を行います。

利用者によるハラスメントの場合、関係する他のヘルパーにも聞き取りを行ってください。

3.提案・謝罪・補償など

調査の結果、訴えが誤りと判断された場合はその根拠を説明し、問題解決のための提案をして関係修復の道を探ります。 

訴えが正当と判断した場合は、謝罪と補償を行って問題への対策を説明します。利用者からの訴えが思い込みだった場合、その旨と根拠を利用者本人または家族に説明しましょう。

訴えの対象となったヘルパーにも調査結果を説明し、メンタルのフォローをすることが大切です。 

4.記録を残す

上記1~3までの流れと詳細な内容を、トラブル・苦情の記録として保存します。 

対策|予防への取り組み

利用者やヘルパーとよい関係を保ち、事業の運営を安定させるためには、トラブルや苦情を引き起こさない対策も重要です。トラブル予防に有効な取り組みは以下の通りです。

普段から利用者や家族と信頼関係を築く

日頃から利用者や利用者家族とコミュニケーションを図り、信頼関係を築きましょう。連絡をこまめにとり、提案や要望を受け入れやすい関係を作っていれば、問題が起きた際にもお互いの訴えを冷静に聴けるでしょう。

認知症や精神疾患のある方の場合も症状の変化を共有し、トラブルにならないための対策を考えておくことが可能です。

ヘルパーが相談しやすい環境を作る

ヘルパーが相談しやすい事業所にすることも大切です。訪問介護は一人でサービス提供を行うため、ヘルパーが利用者と関わる様子を他者が目にする機会が限られています。

悩みが小さいうちに上司や先輩などに相談できれば、問題が大きくなる前に対処できます。

研修会など定期的な学習機会をもつ

トラブルや苦情が起きたときの対処を学ぶ機会を持ちましょう。研修会や勉強会を通して、事業所のヘルパーやスタッフ全員が共通認識をもつのがポイントです。また、定期研修の場で問題を取り上げることで、それまで我慢していたヘルパーも悩みを打ち明けやすくなります。

事例検討やグループワークなどで意見交換する時間を設けると話しやすいでしょう。

マニュアルを作成する

トラブルや苦情対応のマニュアル整備も重要です。問題が起きたときにヘルパー全員がマニュアルに沿った行動を取れると、被害の拡大や間違った対応を回避できます。マニュアルは作成するだけではなく、定期的に見直して不足があれば付け足します。

ヘルパーへ周知するとともに、いつでも確認できる小冊子などにして携帯しましょう。

苦情相談窓口を設置、周知する

事業所や会社単位の苦情相談窓口を設置しましょう。利用者に対し、窓口への連絡方法を書面で通知・周知してください。窓口情報は契約書や重要事項説明書に記載するのが一般的です。また、市区町村などの自治体にも相談窓口が設置されています。事業所の相談窓口と一緒に周知しましょう。

介護現場のハラスメントは、介護職員の人材確保の課題として対策が強化されている内容でもあります。ハラスメントの事例や対策の詳細は以下をご覧ください。

厚生労働省|介護現場におけるハラスメント対策

訪問介護に行きたくない利用者がいる場合

トラブルや苦情があり訪問が苦痛な利用者がいる場合、以下のような行動がおすすめです。 

上司に相談し、訪問先を変えてもらう

まずは上司や利用者の担当責任者に相談しましょう。上司から利用者に対して改善を申し入れることで、問題が解消されるケースがあります。特に、介護保険でできない内容の説明はサービス提供責任者が行うとよいでしょう。サービス提供責任者なら、契約内容に基づいた根拠を示し、利用者と一緒に代替案を考えることが可能です。 

精神的な負担が大きい場合やトラブル内容が改善されない場合は、訪問先を他の利用者に変更してもらいましょう。ヘルパーは、事業所にとって非常に大切な存在です。ヘルパーを守るために、訪問先の変更に応じてくれるでしょう。 

他の事業所やサービスに転職する

上司に相談しても対応してもらえなかった場合は、転職も視野に入れてキャリアを考えましょう。訪問介護自体から離れたいのなら、他の介護サービスに転職する方法があります。デイサービスや入所施設であれば、複数のスタッフが周りにいる環境で働けます。 

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訪問介護のトラブルは事前の対策と適した対応で対処しよう

訪問介護は利用者の居宅の中でサービス提供を行うため、窃盗やハラスメントなどのトラブルが起きる場合があります。また、利用者と1対1の密室でかかわる特性上、問題が見えにくく表面化するまでに時間がかかりやすいのが特徴です。

トラブルや苦情の悩みがヘルパーの退職につながらないためにも、適切な対応と予防の対策が重要になります。マニュアルの整備や研修会などを通して、問題発生時の対処方法をヘルパー全員で共有しましょう。

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この記事を書いた人

Iharaのアバター Ihara 運営者

15社以上のオウンドメディア・コンテンツの企画・戦略設計の経験を持つマーケティングアナリスト。大学在籍時に中小企業診断士一次試験突破。ASO・SEOを中心に活動しており、アプリ・インフルエンサーマーケティングにも精通がある。
介護・看護職のための単発バイトメディア「カイテク・メディア」の編集長。
介護・看護職のよりどころ「ケアマガジン」の運営者。

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