訪問介護のヘルパーができること・できないこと一覧!断り方や対応方法も解説

訪問介護ヘルパーの仕事をしていると、利用者から予定外の行為を頼まれることがあります。引き受けるべきかどうか悩んだり、困ったりする経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

この記事では、ヘルパーができること・できないことの一覧について解説いたします。

目次

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訪問介護ヘルパーにはできないことがある

訪問介護は利用者の生活に必要な介助をする役割を担いますが、介護保険で提供できる内容には制限があります。

ホームヘルパーが行えない行為の概要について、以下で解説します。

介護保険対象外の行為

訪問介護は、利用者の日常生活を支える介護保険のサービスです。その内容は介護保険対象の行為に限られており、それ以外の行為を訪問介護として提供することはできません。訪問介護のサービス内容については、厚生労働省の「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について(老計10号)」で確認できます。

厚生労働省|老振発0330第2号「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」の一部改正について

ケアプランに位置づけられていない行為

訪問介護は、ケアマネージャーが作成したケアプランに基づきサービスを提供します。ケアプランとは、利用者一人ひとりの状況や希望に応じて、課題解決に必要な介護サービスの内容を記載した計画書です。

訪問介護をはじめとする介護サービスは、ケアプランに位置づけられていない行為の提供はできません。ケアプランに含めることができる内容や曖昧なゾーンの取り扱いは、自治体のルールによって異なるため、詳細の確認が必要です。

また、訪問介護は利用者本人に対する行為に限定されています。したがって、本人以外への提供や、本人不在時のサービスは行えません。

医療行為

医療行為(医行為)は、医師や歯科医師、看護師などの免許を持つ者のみに許可されている行為であり、訪問介護のヘルパーがこれを行うことは禁止されています。ただし、医療行為(医行為)に該当しない医療的ケアや、特定の条件を満たす医療行為は、ケアプランに位置づけられた上で提供することができます。

厚生労働省|医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(通知)

ヘルパーのできること・できないこと一覧

訪問介護のサービス内容には、大きく分けて以下の3つがあります。 

  • 身体介護 
  • 生活援助 
  • 医療的ケア

ここでは、ヘルパーのできることとできないことを、それぞれ一覧でご紹介します。

身体介護

身体介護とは、利用者の身体に直接触れて行う介護を指します。

本人の残存機能を活かすための自立支援や重度化防止のサービスも重要視されています。また、利用者の見守りや一緒に行う家事なども身体介護に含まれます。

【ヘルパーができること】

  • 排泄
    • トイレの声掛け・誘導、移動の介助・見守り
    • 尿器や便器を使用した排泄の介助
  • おむつ交換
    • 食事
    • 食事の介助
    • 食事姿勢の保持
    • 専門的な配慮をもって行う調理(医師の指示によるもの)
  • 入浴
    • 入浴の介助(全身浴、部分浴)
    • 全身清拭
  • 身体整容
    • 洗面、口腔ケア
    • ひげや髪の手入れ、爪切り・簡単な化粧
  • 更衣
    • 更衣動作の介助、準備
  • 体位交換
    • 体位交換
    • クッションなどを使用した姿勢の保持
  • 移動・移乗
    • 車いすや徒歩での移動の介助
    • 車いすへの移乗の介助
  • 通院
    • 乗車・降車のための移動・移乗の介助
    • 受診の手続き
    • 院内での移動や排泄の介助
  • 見守り的援助
    • 自立支援・重度化防止のための本人が行う行為の見守り

【ヘルパーができないこと】

  • 身体整容
    • 散髪
  • 通院
    • 受診の待ち時間の付き添い
    • 利用者やヘルパーの自家用車を運転する送迎

参照:厚生労働省|老振発0330第2号「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」の一部改正について

生活援助

生活援助とは、利用者の日常生活に必要な家事の援助を指します。

注意したい点は、本人や家族が行うことが困難な場合にのみ援助が行われ、本人以外に対する行為はできないということです。

大掃除や本人が使用しない部屋の掃除、家族のための調理などは対象外となります。ヘルパーが行うことができない掃除・調理・洗濯などの内容を確認しましょう。

【ヘルパーができること】

掃除
・主に本人が使用する居室やトイレ、浴室、テーブルの上などの掃除
・ごみ出し

洗濯
・洗濯機や手洗いによる洗濯
・洗濯物干し、取り込み、収納
・アイロンがけ

ベッドメイク
・シーツや布団カバーの交換など

衣類の整理・被服の補修
・衣類の整理、シーズンごとの入れ替え
・被服のボタン付け、破れの補修

調理
・利用者本人のための調理
・配下膳、後片付けのみ

買い物・薬の受け取り
・近隣店舗での食材や日用品などの買い物(生活に必要なもの)
・薬の受け取り
・公共料金の支払い

【ヘルパーができないこと】

  • 同居の家族が行える家事
  • 家族など、利用者本人以外のための行為
  • 行わなくても日常生活に支障のない行為
  • 日常の範囲を超える家事
  • 掃除
    • 利用者本人が使用しない部屋の掃除
    • 同居家族との共有スペースの掃除
    • 同居家族が対応可能な掃除
    • 換気扇の掃除
    • 大掃除、窓ガラスの拭き掃除、床のワックスがけ
    • 模様替え、家具や大きな家電の移動・修繕
    • 草むしり、庭木の手入れ
  • 洗濯
    • 利用者本人以外のための洗濯関連行為、アイロンがけ
  • ベッドメイク
    • 利用者本人以外のシーツ・布団カバー交換
  • 衣類の整理・被服の補修
    • 利用者本人以外の衣類の整理・補修
  • 調理
    • 利用者本人以外のための調理、配膳、後片付け
    • おせち料理や行事料理などの特別な手間をかける調理
  • 買い物・薬の受け取り
    • 利用者本人以外のための買い物
    • 遠方の店やデパート等、遠くでする買い物
    • 酒やたばこ、嗜好品の購入
    • 来客用の品物や贈答品の購入
  • その他
    • 銀行やATMでのお金の引き出し、お金の管理
    • ペットの世話や散歩
    • 話し相手
    • 単なる見守り・留守番
    • 単なる散歩や理美容院への同行
    • 来客のための準備、応接
    • 家屋の修理、ペンキ塗り
    • 自家用車の洗車や車内の掃除 など

参照:厚生労働省|老振発0330第2号「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」の一部改正について
参照:厚生労働省|(別紙2).指定訪問介護事業所の事業運営の取扱等について. (平成12年11月16日壱第76号)

医療的ケア

ヘルパーが行うことができる医療的ケアと、条件によっては実施可能な医療行為は以下のとおりです。いずれも、病状の変化により専門的な管理が必要となる医療行為があります。利用者の状態に変化が見られた場合、事業所を通じてケアマネージャーや医師への報告が必要です。

【ヘルパーができること】

  • 測定
    • 水銀体温計・電子体温計による体温の計測
    • 自動血圧測定器での血圧測定
    • パルスオキシメータの装着
  • 処置
    • 軽い切り傷や擦り傷、やけど等で、専門的な判断や技術が不要な処置
    • ストマ装具のパウチにたまった排泄物の廃棄
    • 自己導尿を補助するための、カテーテルの準備や体位の保持
    • 市販のグリセリン浣腸器を用いた浣腸
  • 服薬・医薬品の使用
    • 一包化された内服薬の服薬介助
    • 軟膏の塗布
    • 皮膚への湿布の貼り付け
    • 点眼薬の点眼
    • 鼻腔粘膜への薬剤噴霧
    • 肛門からの坐薬挿入
  • 爪切り
    • 爪に異常がなく、専門的な管理が必要ない場合の爪切り・やすりがけ
  • 口腔ケア
    • 歯ブラシや綿棒、巻き綿子を使用したケア
  • 耳掃除
    • 耳垢の除去

【ヘルパーができないこと】

  • 測定
    • 水銀血圧計の使用
    • 測定した数値に対する判断・助言
  • 処置
    • 専門的な判断や技術が必要な処置
    • 褥瘡の処置
    • 肌に接着したパウチの取り替え
    • 血糖の測定、インスリン注射
    • 導尿・摘便
  • 服薬・医薬品の使用
    • 内服薬の区分け、管理
  • 爪切り
    • 爪や周囲の皮膚に異常がある場合
    • 糖尿病等の疾患にともない専門的な管理が必要な場合
  • 口腔ケア
    • 重度の歯周病等がある場合
  • 耳掃除
    • 耳垢塞栓の除去

参照:厚生労働省|医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(通知)

できないことを依頼されたときの対応とポイントを解説!

ヘルパーができないことを依頼された際、断り方や困りごとへの対処方法に悩むこともあるでしょう。ただ、できない内容をお断りするだけではなく、他の方法で問題解決のお手伝いができます。

ここでは、断り方のポイントと活用可能な他のサービスについて解説します。

できないことは断る|利用者にに寄り添うのがポイント

介護保険で対応できない内容については、その旨を説明してお断りしましょう。ただ断るだけでなく、利用者の解決したい問題をしっかりとヒアリングすることが重要です。訪問介護以外の方法で解消できる場合も多いため、代案を考えて課題解決につなげることが大切です。

困っている気持ちに寄り添う姿勢は、利用者の不安を和らげ、不満を回避するポイントとなります。現場での判断が難しい場合は、上司に相談して指示を仰いでください。

多くの場合、利用者はヘルパーに頼めることと頼めないことを正確に把握していません。トラブルを防止するため、契約時にはできないことを書面で説明することも大切です。

訪問介護以外の方法を検討する|ケアマネージャーや家族との連携

訪問介護で対応できない場合でも、他のサービスを活用することで、利用者の困りごとを解消することが可能です。ヘルパーにはできない内容でも、ケアマネージャーに報告し、解決につなげることが重要です。訪問介護以外で検討できる方法として、以下のサービスなどが考えられます。

  • 介護保険外サービス(自費)
    • 介護保険でカバーできない内容を提供する自費サービスです。
  • 配食サービス
    • 利用者の好みや持病、頻度などに合わせた弁当の宅配サービスです。
  • 医療機関受診や訪問看護
    • 医師の診察や医療行為が必要と判断されるケースに有効です。
  • 家族の協力
    • 家族の協力が得られる場合、細かい対応や単発の対応も可能です。

ヘルパーができないことは、他の方法を提案して解決につなげよう!

訪問介護のヘルパーには、サービス提供の範囲や禁止行為などの制限が設けられています。できないことを依頼された際の対応は難しいですが、他の方法での解決も考えられます。

事業所やケアマネージャー、家族などと連携し、問題解決の方法を共同で考えることが求められます。何かできないことを依頼された場合は、事業所やケアマネージャーに報告し、解決に向けて動いていきましょう。

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この記事を書いた人

Iharaのアバター Ihara 運営者

15社以上のオウンドメディア・コンテンツの企画・戦略設計の経験を持つマーケティングアナリスト。大学在籍時に中小企業診断士一次試験突破。ASO・SEOを中心に活動しており、アプリ・インフルエンサーマーケティングにも精通がある。
介護・看護職のための単発バイトメディア「カイテク・メディア」の編集長。
介護・看護職のよりどころ「ケアマガジン」の運営者。

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