【結論】重度訪問介護に2時間ルールはない!理由やルールの例外とは

訪問サービスを行っていると耳にする「2時間ルール」という言葉。どのような内容なのか、重度訪問介護にも存在するのかなど、疑問に思っている方も多いでしょう。

今回では、「2時間ルール」の概要や例外、適用されるサービスについて解説いたします。

目次

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【結論】重度訪問介護に2時間ルールはない!

介護・障害福祉の訪問サービスにおいて注意したい規則の一つに、2時間ルールがあります。適切なサービス提供や算定のためにはルールの確認が必要です。結論から言うと、重度訪問介護には2時間ルールは適用されません。

訪問介護や居宅介護で適用される2時間ルールの内容や例外、さらに重度訪問介護に適用されない理由などをご紹介しますので、順番に見ていきましょう。

訪問サービスの2時間ルール

はじめに、介護・障害福祉の訪問サービスで用いられる2時間ルールの概要を解説します。

介護・障害福祉の2時間ルールとは?

2時間ルールとは、前回の訪問から2時間以上空けずにサービス提供を行った場合、特例を除き、それぞれの所要時間を合算した1回のサービスとみなすという規則です。

このルールにより、訪問介護や居宅介護を1日に複数回行う場合、一つひとつのサービスとして算定するためには、間隔を2時間以上空けることが必要となります。

参照:
厚生労働省|訪問介護
愛媛県|障害福祉サービス(訪問系サービス(居宅介護))について
厚生労働省|指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準

2時間ルールがある理由

2時間ルールは、「サービスは利用者の生活パターンに合わせて提供されるべき」という考え方のもとで作成された規則です。事業所が支援内容を不必要に区分けし、訪問回数を重ねることを防止する目的で設けられています。

訪問介護や居宅介護では、支援内容と提供時間によって基本報酬が定められ、1回のサービス時間が長くなるほど時間当たりの報酬が低くなる構造となっています。そのため、支援内容をまとめて提供するよりも、細かく区切って複数回提供する方が事業所の利益が大きくなる場合があります。

しかし、事業所の利益のために不必要に区分けした訪問は、利用者の生活に合わせた支援とはなりません。これを防ぐ目的で2時間ルールが定められました。

2時間ルールの算定事例

2時間ルールの具体的な算定事例として、訪問介護の単位数を比較しましょう。

(例)身体介護を2回提供する内容

間隔が2時間以上の場合:適用されない

9:00~9:25の身体介護
12:00~12:25の身体介護

2時間以上の間隔があるため、2回のサービスとして算定する。

20分以上30分未満の身体介護は250単位
250単位×2回=500単位

間隔が2時間未満の場合:適用される

9:00~9:25の身体介護
11:00~11:25の身体介護

1回目のサービス終了から2回目のサービス開始の間隔が2時間未満のため、二つの訪問時間が合算されて50分の身体介護とみなされる。

30分以上1時間未満の身体介護は396単位
396単位×1回=396単位

参照:厚生労働省|訪問介護

重度訪問介護に2時間ルールがない理由

重度訪問介護に2時間ルールが存在しない理由のポイントは、サービスの対象者の条件や報酬体系にあります。2つの主な理由をご紹介します。

対象者の条件|24時間の利用も想定しているため

第一の理由は、重度訪問介護の対象者の条件です。対象者は障害支援区分が4以上で定められた条件に該当する方です。このサービスは24時間利用も可能な長時間の訪問が基本であり、見守りを含めた必要なサービスを臨機応変に行う形態となっています。

支援内容の細かい時間設定はなく、行為の所要時間やタイミングも一定ではありません。時間で区切るサービスではないため、2時間ルールは存在しません。

重度訪問介護のサービス詳細は、こちらもご覧ください。

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1日当たりの費用で算定するため

第二の理由は、報酬体系が1日単位であることです。1回のサービスごとに費用が算定される訪問介護や居宅介護と異なり、重度訪問介護は1日あたりの費用で算定される報酬体系となっています。

元々報酬が1日単位となっているため、2時間ルールは存在しません。

参照:厚生労働省|03_資料3 重度訪問介護に係る報酬・基準について

訪問介護|2時間ルールの例外

訪問介護の2時間ルールには例外があります。ここでは、例外となる4つのケースを紹介します。

緊急時訪問介護加算を算定する場合

緊急時訪問介護加算の対象となるサービスを提供した場合、2時間ルールの除外となります。緊急時訪問介護加算とは、利用者からの要請を受け、ケアマネージャーが必要と認めた場合やケアプランに定めた時間以外のサービスを緊急で提供した際に算定できる加算です。

厚生労働省|指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準

看取り期にサービス提供する場合

看取り期は柔軟な対応が求められ、訪問介護の頻回なサービス提供が必要です。充実した対応を適切に評価する観点から、看取り期では2時間ルールが弾力化されています。看取り期とは、医師の診断により、医学的知見に基づき回復の見込みがないとされた場合を指します。

参照:厚生労働省|訪問介護

20分未満の頻回の身体介護を行う場合

頻回の訪問としてケアプランに位置づけられ、20分未満の身体介護を複数回提供する場合、訪問の間隔が2時間未満でも2時間ルールは適用されません。

ただし、対象となるサービスを実施するためには、事業所の体制要件と利用者要件を満たす必要があります。

参照:
厚生労働省|平成 27 年度介護報酬改定に関する Q&A (平成 27 年4月1日)
厚生労働省|指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準

通院等乗降介助を行う場合

通院等の乗降介助を行った場合も除外となります。通院等の乗降介助では、基本的に受診の行き(往路)と帰り(復路)をそれぞれ個別に算定するためです。

参照:
厚生労働省|訪問介護
厚生労働省|平成 27 年度介護報酬改定に関する Q&A (平成 27 年4月1日)
厚生労働省|指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準

訪問介護|2時間ルールの注意点

訪問介護の2時間ルールを考える際、気を付けたい注意点があります。2つご紹介しますので、確認してください。

複数の事業所を利用する場合

複数の事業所を利用した場合でも、それぞれのサービスの間隔が2時間未満である場合は、2時間ルールが適用されます。そのため、異なる事業所が行ったサービスであっても、利用者の費用は提供時間を合算した1回のサービスとして請求されます。

提供したサービスの介護報酬は、事業所同士の話し合いに委ねられるため、注意が必要です。

.算定できない時間が発生する場合

サービス中に算定できない時間が発生した場合、2時間ルールの適用には確認が必要です。算定できない時間が発生する代表的なサービスには通院介助があります。通院介助の際に院内にいる時間は、介護保険の対象外となります。そのため、診察時間や待ち時間等は算定できない時間となります。

この算定できない時間が2時間以上ある場合のルール適用方法は、地域によって異なりますので、お住いの市区町村に確認してください。

参照:厚生労働省|老振発0330第2号「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」の一部改正について

居宅介護の2時間ルール

障害福祉サービスの居宅介護にも2時間ルールが存在します。ルールの概要は訪問介護と同様ですが、以下の2点が異なります。

サービス区分が違うときは適用されません

居宅介護の場合、2時間ルールの対象となるのは前後のサービスが同じ区分のときだけです。そのため、前後が異なるサービス区分の場合は、別々に算定することが可能です。

身体介護のサービスから2時間あけずに家事援助を行った場合、合算せずに別々のサービスとして算定できます。

複数の事業所を利用した場合は適用されません

居宅介護では、複数の事業所を利用した場合、2時間ルールは適用されません。別の事業所が提供するサービスとの間隔が2時間未満でも、それぞれの事業所が独立したサービスとして算定できます。

参照:愛媛県|障害福祉サービス(訪問系サービス(居宅介護))について

重度訪問介護は2時間ルールなし!訪問介護などとの違いをおさえよう 

重度訪問介護は、常に介護が必要な方を長時間支援する目的のサービスです。見守りを含め、状況に合わせた柔軟な対応を重視し、必要な時に適切な支援を提供します。そのため、行為ごとの時間制限がなく、2時間ルールも存在しません。訪問介護や居宅介護との違いを把握し、適切なサービス提供に努めましょう。

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この記事を書いた人

Iharaのアバター Ihara 運営者

15社以上のオウンドメディア・コンテンツの企画・戦略設計の経験を持つマーケティングアナリスト。大学在籍時に中小企業診断士一次試験突破。ASO・SEOを中心に活動しており、アプリ・インフルエンサーマーケティングにも精通がある。
介護・看護職のための単発バイトメディア「カイテク・メディア」の編集長。
介護・看護職のよりどころ「ケアマガジン」の運営者。

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