介護士が海外で働く方法|海外移住の4つの課題と年収比較

海外で介護士として活躍したいとお考えですか。海外移住を目指す方や、海外の介護現場を体験したいと思っていても、実際に就職できるのか不安に思うことでしょう。

今回では、介護士として海外で働く方法や、移住時の課題、給与の目安などを解説いたします。

目次
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海外移住は可能?介護士が海外で働くときの4つの課題

結論から言うと、介護士が海外移住することは可能です。

ただし、海外で働くには課題があるため注意が必要です。

ここでは、介護士が海外で働くときの4つの課題を解説します。

課題1.外国人の受け入れ体制

介護士に限らず、海外で働くにはその国が外国人労働者をどの程度受け入れているか確認する必要があります。外国人労働者の受け入れ状況は国によって異なり、移住問題や不法就労などの問題から入国できない国も存在しているためです。

課題2.ビザ取得が難しい

海外で働くためには就労ビザが必要ですが、就労ビザ取得の難易度は高く、日本人が海外で働くときの大きな課題になっています。どの国でも自国雇用を最優先にしているため、外国人労働者の雇用に対して消極的な傾向があります。

課題3.資格が使えない|介護福祉士も無効

日本で働く介護士が所有している介護の資格は、日本国内のみで有効なため海外では使えません。国家資格である介護福祉士も同様です。海外の職場で資格が必要な場合は、働く国で有効な資格をその国で取得することになります。 

ただし、日本で身につけた介護技術や知識は、海外の介護現場でも活かせるスキルです。

資格取得をしなくても、介護のスキルを活かして働くことは可能でしょう。 

課題4.言語や文化の違い

海外で働くためには、言語や文化の違いを理解する必要があります。介護サービスでは利用者の気持ちを傾聴し、会話を通してコミュニケーションをとるのも重要になるため、言語能力は必須のスキルです。

介護士は高齢者と接する特性上、働く国の文化や歴史を十分理解しておくことも大切でしょう。

海外で介護士として働く方法

介護士が海外で働くためには課題がありますが、介護の仕事に携わる方法はあります。ハードルの低い方法から始めて、計画的に海外移住を考えるとよいでしょう。

ワーキングホリデーの活用

就労ビザ取得の難易度は高いですが、ワーキング・ホリデー制度を利用することで海外で仕事をする難易度が下がります。ワーキングホリデービザがあれば、就労ビザを取得しなくても海外で働けるためです。 

ワーキング・ホリデー制度とは、休暇を目的として入国している青少年を対象に、滞在期間中の資金補填のための就労を認める制度です。令和5年8月1日時点で、日本は29か国・地域との間でこの制度を導入しています。 

国によってはワーキングホリデービザから就労ビザへの変更が可能な場合もあり、利用条件に該当する場合は有効な手段でしょう。ただし、ワーキング・ホリデーを利用する場合は在留期間などの制限があるため、内容を確認してください。 

参照:外務省|ワーキング・ホリデー制度 

ボランティア

海外の介護現場を体験したい方や世界に介護技術を提供したい場合は、ボランティアや海外派遣で活躍する方法があります。

国際協力機構JICAでは、身につけた技術や経験を開発途上国に活かす活動として、JICA海外協力隊を募集しています。高齢者介護の仕事も含まれているので、活動に参加するのもよいでしょう。

JICA|海外協力隊

海外派遣

公益財団法人社会福祉振興・試験センターが行う海外研修・調査を利用して、海外の介護施設への訪問機会を得ることもできます。講義や施設の視察が中心ですが、体験研修もあり海外の介護事情を生で学べる内容となっています。

社会福祉振興・試験センター|介護福祉士海外研修・調査

日本と海外の違い

日本と海外では、介護の環境や制度の内容、介護士の給与などに違いがあります。ここでは、介護現場における日本と海外の違いをご紹介します。

介護先進国・介護後進国が存在

介護の環境や制度、取り組みの浸透度などは国によって異なります。社会福祉に力を入れ、整備された制度と手厚い介護を受けられる国は「介護先進国」と称され、国外からも注目されています。一方、介護の制度がなく、高齢者が支援を受けられないまま亡くなっていく「介護後進国」が存在するのも事実です。

「介護先進国」の代表的な国にスウェーデンがあります。スウェーデンと日本の介護制度の特徴は以下の通りです。

スウェーデン

主な財源は地方税
自宅への訪問を基本とした24時間対応の包括ケア
介護サービスの利用率が高い

日本

財源は介護保険制度
訪問・通所・施設など、利用者がサービスを選択できる
家族による介護の割合も多い

参照:参議院|スウェーデンの介護事情

介護士の給与を年収で比較

日本で働く介護士の年収と、海外の介護士の年収の目安(2018年)は以下の通りです。

  • 日本:約360万円
  • ドイツ:約410万円
  • オランダ:290~380万円

国や職種によって収入は異なりますが、介護に従事する方の年収は介護以外の業界の方と比べて低い傾向にあります。

国別:介護業界の特徴

次に、海外の介護業界について、特徴を国別に紹介します。海外で働く際の参考にしてください。

オーストラリア

オーストラリアは、ワーキングホリデーや外国人労働者の受け入れが比較的寛容な国です。介護士として働く際も仕事を見つけやすい傾向にあります。 

また、高齢者ケアを支える柱の一つとして、家族などの介護者に対する支援が位置づけられているのが特徴です。介護者支援は主に情報提供、レスパイトケア、金銭的支援を中心としたもので、介護者への情報提供とネットワーク化、無料の電話相談や自宅訪問などがあります。 

ドイツ

ドイツでは介護保険制度の対象に年齢の制限がなく、家族や友人によるケアに対する現金給付も選択できるといった特徴があります。家族の介護は「労働」として認められ、介護のために時短勤務になった場合、年金や失業保険など保険料の支払い補助が受けられます。

家族による介護は社会保障の対象となり、単なる労働対価以上の意味を持っていると言えます。 

参照:厚生労働省|ドイツの介護保険制度における介護手当(現金給付) 

デンマーク

デンマークは、スウェーデンと並ぶ介護先進国のひとつです。消費税や所得税などの税率が高く、一部の医療費や教育費が無料などの手厚い社会保障が特徴です。 

「持ち上げない介護」が一般的で、入浴に機械浴を用いたり、ベッド周辺にリフトが設置されていたりするため、利用者にも介護者にも負担の少ない環境となっています。

介護職員は公務員として扱われるため、待遇がよく介護を担う人手が足りている国でもあります。 

アメリカ

アメリカには公的な介護保険制度がありません。そのぶん民間の介護保険が発達し、高額な費用を支払って介護サービスを利用したり、料金を支払えず介護サービスを受けられない高齢者が存在しています。

介護士の働き方にも特徴があり、利用者に気に入られて専属介護士として働くケースや、給与の他にチップで収入を増やす方もいます。

介護士が海外で働くには課題のクリアがポイント!海外移住は計画的に

介護士が海外で働くためにはビザの取得や言語の習得などの課題がありますが、比較的働きやすい方法もあるため計画的に考えるのがポイントです。また、介護の制度や特色は国によって異なるため、自分が目指す働き方を実現できる国を選びましょう。

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