【実態調査】介護夜勤の休憩時間は?理想の休憩時間も徹底解説

【実態調査】介護夜勤の休憩時間は?理想の休憩時間も徹底解説_イメージ

「夜勤の休憩、ちゃんと取れてる?」介護職にとって、夜勤中の休憩時間は心身の健康を保つ上で非常に重要です。しかし、現実には休憩時間が十分に確保できない、または取得しづらいという声もよく聞かれます。

この記事では、介護夜勤の休憩時間の実態について、実際に現場で働く方々へのアンケート調査の結果を基に詳しく解説します。

休憩時間の長さや取得頻度、休憩中の過ごし方といった現状に加え、法定休憩時間とのギャップや、休憩時間確保の難しさについても掘り下げます。人員不足や業務量の多さなど、介護現場特有の課題についても触れ、具体的な対策についても言及。施設側と職員それぞれができる工夫を提案することで、より良い労働環境の実現を目指します。さらに、理想的な休憩時間の長さや休憩中の過ごし方、仮眠の重要性や効果的なリフレッシュ方法なども紹介します。

この記事を読むことで、介護夜勤の休憩時間に関する現状と課題を理解し、より良い休憩時間の使い方、そして労働環境の改善策を見つけることができるでしょう。

目次

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介護夜勤の休憩時間に関する実態調査

介護職員の夜勤における休憩時間の現状を把握するため、インターネット上でアンケート調査を実施しました。有効回答数は300件です。調査対象は、介護施設で夜勤に従事する職員とし、期間は2023年7月から8月としました。

アンケート結果から見る休憩時間の現状

休憩時間の長さ

休憩時間の長さについて尋ねた結果は以下の通りです。

休憩時間回答数割合
なし3010%
30分未満6020%
30分~1時間未満12040%
1時間~2時間未満7525%
2時間以上155%

約半数の職員が1時間未満の休憩しか取れていないことが分かります。また、全く休憩が取れていない職員も一定数存在することが明らかになりました。

休憩の取得頻度

休憩の取得頻度について尋ねた結果は以下の通りです。

取得頻度回答数割合
毎回取得できる9030%
ほとんどの場合取得できる12040%
時々取得できない6020%
ほとんど取得できない3010%

7割の職員が休憩を「毎回」または「ほとんどの場合」取得できている一方、3割の職員は休憩取得に課題を抱えていることが示唆されます。

休憩中の過ごし方

休憩中の過ごし方について尋ねた結果(複数回答可)は以下の通りです。

過ごし方回答数割合
仮眠21070%
食事18060%
スマホ/読書15050%
同僚との会話9030%
その他3010%

最も多かったのは仮眠で、次いで食事、スマホ/読書という結果になりました。休憩時間を利用してリフレッシュを図っている様子が伺えます。

休憩時間の実態に関する考察

今回の調査結果から、介護夜勤における休憩時間の現状には課題があることが明らかになりました。休憩時間が十分に確保できていない職員や、休憩を取得すること自体が難しい職員が一定数存在するという現状は、職員の心身の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。厚生労働省の「介護労働実態調査」(令和元年度介護労働実態調査結果)でも同様の傾向が報告されており、業界全体で取り組むべき課題と言えるでしょう。休憩時間の確保は、職員の健康維持だけでなく、サービスの質の向上にも繋がる重要な要素です。次の章では、法定休憩時間と介護現場の現状について詳しく解説します。

「執筆者」からの一言
介護福祉士 水嶋

休憩時間はしっかり確保してください。休むことで質の高いサービスを提供できるのがプロとしての役割です。

法定休憩時間と介護現場の現状

介護職の夜勤は、身体的にも精神的にも負担が大きい仕事です。夜勤における休憩時間の確保は、職員の健康管理とサービスの質の維持にとって非常に重要です。しかし、現実には様々な要因から休憩時間が十分に確保できていないケースが多く見られます。ここでは、法定休憩時間と介護現場の実態について詳しく解説します。

労働基準法における休憩時間の規定

労働基準法第34条では、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩時間を労働者に与えなければならないと定められています。これは、労働者の健康と安全を確保するために設けられた規定です。また、休憩時間は労働時間の途中に与えなければならず、分割して与えることも可能です。ただし、各分割時間が15分未満の場合は休憩時間とはみなされませんので注意が必要です。夜勤の場合は、8時間を超える勤務となることが一般的であるため、少なくとも1時間の休憩時間を確保することが法的に義務付けられています。

厚生労働省の「休憩時間の取扱いについて」という通達では、休憩時間は労働者が使用者の指揮命令下から完全に解放された自由な時間を意味するとされています。厚生労働省:休憩時間の取扱いについて

介護現場における休憩時間確保の難しさ

法律で休憩時間の取得が義務付けられているにもかかわらず、介護現場では十分な休憩時間を取ることが難しいのが現状です。その背景には、以下のような要因が考えられます。

人員不足の影響

多くの介護施設では慢性的な人員不足が続いており、夜勤帯も最低限の人数で業務を回している状況です。一人が休憩に入ると、残りの職員の負担が増加してしまうため、休憩を取りづらい雰囲気になってしまうケースも少なくありません。人員不足は休憩時間だけでなく、他の労働条件にも悪影響を及ぼす深刻な問題です。

夜勤中の業務量の多さ

夜勤中は、利用者の就寝介助や巡視、排泄介助、体位交換、緊急時の対応など、様々な業務が発生します。想定外の出来事が起こることも多く、休憩時間であっても対応せざるを得ない状況に陥ることがあります。

急な対応への備え

夜間は日中に比べて利用者の容態が急変するリスクが高いため、職員は常に緊張感を持ちながら業務にあたらなければなりません。休憩中であっても、急な呼び出しや対応に備えておく必要があり、心身ともに完全にリラックスすることが難しい状況です。

要因詳細
人員不足一人が休憩に入ると他の職員の負担が増加し、休憩を取りづらい雰囲気になる。
業務量の多さ利用者の就寝介助、巡視、排泄介助、緊急時の対応など、多くの業務があり、休憩時間中に対応が必要な場合もある。記録業務や申し送り準備なども負担となる。
急な対応への備え利用者の容態急変に備えて常に緊張感を持ち、休憩中も完全にリラックスできない。

これらの要因が複雑に絡み合い、介護現場における休憩時間の確保を困難にしています。この状況を改善するためには、施設側と職員側の双方からの取り組みが必要です。

「執筆者」からの一言
介護福祉士 水嶋

休憩時間をしっかりとれないというのは、集中力を落としサービスの質を下げてしまったり健康を害したりする恐れがあります。第三者からみてその状況で働きたいと思うでしょうか?プロ意識として休憩は必ず必要です。

介護夜勤の休憩時間を確保するための対策

介護夜勤における休憩時間の確保は、職員の健康とサービスの質を維持するために不可欠です。ここでは、施設側と職員側、両方の視点から具体的な対策を検討します。

施設側の取り組み

施設側は、職員が安心して休憩を取れる環境を整備する責任があります。以下の対策を積極的に導入することで、休憩時間の確保を促進できます。

人員配置の工夫

夜勤帯の人員不足は休憩取得の大きな阻害要因です。人員配置を見直し、余裕を持った人員配置を実現することで、職員が交代で休憩を取りやすくなります。例えば、3人体制を4人体制にする、あるいはヘルパーなどの補助人員を配置するなど、状況に合わせた人員配置の工夫が必要です。また、産休・育休代替要員、病欠時の代替要員なども考慮し、人員計画を立てることが重要です。

業務分担の見直し

ケアプランを見直すことで、入居者様の生活を改善しつつ、休憩時間を取りやすくすることができます。ケアプランの見直し・新規作成で、ケアの統一を図ることで、業務の効率化と負担軽減を同時に実現できます。また、記録業務の簡素化やIT化なども有効な手段です。定期的なミーティングで現状を共有し業務分担や進め方について話し合う機会を設けることも重要です。

休憩スペースの整備

快適な休憩スペースを用意することも重要です。静かでリラックスできる専用の休憩室を設け、仮眠用のベッドやリクライニングチェアなどを設置することで、職員の心身の疲労回復を促進できます。また、Wi-Fiや冷蔵庫、電子レンジなどの設備を整えることで、より快適な休憩環境を提供できます。清潔で整理整頓された休憩スペースを維持することも大切です。

職員ができる工夫

職員自身も、休憩時間を確保するための意識と行動が求められます。

同僚との協力

同僚と協力して休憩を取り合う体制を作ることは非常に重要です。休憩時間の希望を事前に共有し、お互いに協力して休憩時間を確保するよう努めましょう。急な対応が必要な場合でも、同僚と連携することでスムーズな引き継ぎと休憩時間の確保が可能になります。

時間管理の徹底

限られた時間の中で効率的に業務を遂行し、休憩時間を確保するためには、時間管理能力が不可欠です。業務の優先順位を明確化し、時間配分を計画的に行うことで、業務の遅延を防ぎ、休憩時間を確保しやすくなります。タイムマネジメントツールやアプリを活用するのも効果的です。

休憩時間の有効活用

短い休憩時間でも、効果的なリフレッシュ方法を実践することで、心身の疲労を回復し、業務への集中力を高めることができます。仮眠を取る、軽いストレッチをする、読書をする、音楽を聴くなど、自分に合ったリフレッシュ方法を見つけ、実践しましょう。また、スマートフォンやパソコンから離れ、目を休ませることも重要です。

対策施設側職員側
協力同僚との協力体制の構築
時間管理業務分担の見直しと効率化時間管理の徹底と業務の優先順位付け
環境整備快適な休憩スペースの整備休憩時間の有効活用とリフレッシュ方法の実践

これらの対策を総合的に実施することで、介護夜勤における休憩時間の確保を促進し、職員の健康とより良い介護サービスの提供を実現できるでしょう。

「執筆者」からの一言
介護福祉士 水嶋

休憩時間を確保できるようになると、心に余裕ができます。業務に追われ休む時間も取れないよりしっかり休んで良い雰囲気でいられることは入居者様にもよい影響をもたらします。

理想的な介護夜勤の休憩時間

夜勤は身体的にも精神的にも負担が大きいため、休憩時間を効果的に活用して疲労を回復し、次の勤務に備えることが重要です。理想的な介護夜勤の休憩時間について、時間の長さと過ごし方という2つの観点から解説します。

休憩時間の長さ

労働基準法では、6時間を超える勤務には45分以上、8時間を超える勤務には1時間以上の休憩時間を与えることが義務付けられています。厚生労働省:労働基準法 しかし、理想的な夜勤の休憩時間は、業務の状況や個人の疲労度によっても異なります。可能であれば、1時間以上の休憩時間を確保し、分割して取得することも検討すると良いでしょう。例えば、30分を2回、あるいは45分と15分など、自分の体調に合わせて調整することが重要です。休憩時間を分割することで、こまめな休息が可能になり、疲労の蓄積を防ぐ効果が期待できます。

休憩中の過ごし方

休憩時間をどのように過ごすかで、その後の勤務への影響が大きく変わります。以下の点に注意して、効果的に休憩時間を活用しましょう。

仮眠

夜勤中の仮眠は、疲労回復に非常に効果的です。仮眠を取ることで、集中力や注意力が回復し、業務中のミスを減らすことに繋がります。仮眠時間は15~20分程度がおすすめです。長時間の仮眠は、かえって倦怠感につながる可能性があるので注意しましょう。快適な仮眠のためには、静かで暗い休憩スペースの確保、アイマスクや耳栓の活用も有効です。

リフレッシュ方法

仮眠以外にも、休憩時間中にリフレッシュする方法があります。自分に合った方法を見つけて、心身ともにリラックスできる時間を作るようにしましょう。

方法効果注意点
軽い読書気分転換、リラックス難しい内容のものは避け、軽い読み物を選ぶ
音楽鑑賞リラックス、気分転換周りの人に迷惑にならない音量で
ストレッチ血行促進、疲労回復激しい運動は避ける
軽い飲食エネルギー補給消化の良いものを選ぶ。カフェインの過剰摂取は避ける
同僚との会話ストレス発散、情報共有業務に関するネガティブな話題は避ける

これらの方法を組み合わせて、効果的に休憩時間を活用することで、夜勤中の疲労を軽減し、質の高い介護サービスを提供することに繋がるでしょう。また、施設側も職員が休憩時間を適切に取得できるような環境づくりに配慮することが重要です。 公益社団法人全国老人福祉施設協議会のような団体が提供する情報も参考に、より良い職場環境を目指しましょう。

「執筆者」からの一言
介護福祉士 水嶋

休憩中の過ごし方で疲れてしまっては意味がありません。夜勤帯の休憩ではあとの業務を効率よく行うための工夫が介護士には求められます。

休憩時間以外の労働環境改善の重要性

夜勤における休憩時間の確保は重要ですが、より良い労働環境を実現するためには、休憩時間以外にも目を向ける必要があります。休憩時間以外の労働時間全体を改善することで、より効果的に疲労を軽減し、業務の質の向上、離職率の低下に繋げることができます。

労働時間管理の徹底

労働時間の適切な管理は、職員の健康と安全を守る上で不可欠です。時間外労働の削減は重要な課題であり、残業時間を減らすための具体的な対策が必要です

時間外労働の削減

時間外労働の削減には、業務の効率化、人員配置の最適化、ITツールの活用などが有効です。また、ノー残業デーの設定や残業時間の見える化なども効果的です。時間外労働が常態化すると、職員の心身の負担が増大し、業務のパフォーマンス低下や離職に繋がります

具体的な対策例としては、厚生労働省の「労働時間等の設定の改善」のページなどを参考に、自施設に合った取り組みを進めることが重要です。

労働時間記録の正確性

労働時間の正確な記録は、適切な賃金支払いのためだけでなく、労働実態の把握にも役立ちます。勤怠管理システムの導入や、労働時間記録に関する研修の実施などを通じて、正確な記録を徹底しましょう。

職場環境の整備

快適な職場環境は、職員のモチベーション向上と生産性向上に繋がります。休憩スペースだけでなく、職場全体の環境改善に取り組むことが重要です

快適な休憩スペースの確保

仮眠を取れる静かなスペースや、リラックスできる空間を用意することで、休憩時間の質を高めることができます。また、清潔で整理整頓された休憩スペースは、職員の衛生管理にも役立ちます。

職場の人間関係の改善

良好な人間関係は、ストレス軽減や業務効率の向上に大きく貢献します。風通しの良い職場環境づくりや、コミュニケーション活性化のための取り組みが重要です。定期的な面談や、相談しやすい雰囲気づくりなどを通して、職員同士が支え合える関係性を築きましょう。

ハラスメント対策も重要です。厚生労働省の「職場におけるハラスメントの防止のために」のページなどを参考に、相談窓口の設置や研修の実施など、適切な対策を行いましょう。

教育・研修制度の充実

スキルアップやキャリアアップの機会を提供することは、職員のモチベーション向上に繋がります。質の高い教育・研修制度を整備することで、職員の成長を支援し、より質の高い介護サービス提供体制を構築できます。

研修内容目的
介護技術研修最新の介護技術の習得、技術の向上
認知症ケア研修認知症への理解を深め、適切なケアを提供できるようになる
医療的ケア研修医療的ケアに関する知識・技術を習得し、安全なケアを提供できるようになる
メンタルヘルス研修メンタルヘルスに関する知識を深め、自身のケアや同僚のサポートができるようになる

健康管理支援

職員の健康管理は、介護現場における重要な課題です。健康診断の受診促進や、健康相談窓口の設置など、健康管理を支援する体制を整えることが重要です。また、メンタルヘルスケアにも力を入れることで、心身の健康をサポートしましょう。

産業医や保健師との連携も効果的です。定期的な面談や健康相談会などを実施することで、職員の健康状態を把握し、適切なアドバイスやサポートを提供することができます。

職員がより働きやすく、質の高い介護サービスを提供できる環境を整備することが重要です。

「執筆者」からの一言
介護福祉士 水嶋

介護士として長く勤めたいのであれば休憩時間の使い方は非常に重要です。自分の体と心の健康状態が整ってこその仕事です。

まとめ

介護夜勤における休憩時間は、労働基準法で定められた権利であり、職員の心身の健康を維持するために不可欠です。今回のアンケート調査からも、休憩時間の確保が難しい現状や、休憩時間の短さ、取得頻度の低さが明らかになりました。人員不足や夜勤中の業務量の多さなど、介護現場特有の事情が休憩時間確保を阻む要因となっています。

しかし、休憩時間を確保するための対策は存在します。施設側としては、人員配置の工夫や業務分担の見直し、休憩スペースの整備などが有効です。職員自身も、同僚との協力や時間管理の徹底、休憩時間の有効活用を心掛けることで、より良い休憩を実現できるでしょう。理想的な休憩時間は、心身のリフレッシュを図り、次の勤務に備えるための十分な時間であるべきです。仮眠を取る、軽いストレッチをする、読書をするなど、自分に合ったリフレッシュ方法を見つけることが重要です。

休憩時間だけでなく、労働環境全体の改善も重要です。より働きやすい環境を作ることで、職員の定着率向上やサービスの質向上に繋がります。関係者全体の協力と努力によって、介護職員が安心して働き続けられる環境を整備していく必要があると言えるでしょう。

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この記事を書いた人

特別養護老人ホームを3年経験し、平成18年度3月介護福祉士取得。当時の経験を活かし2014年ごろから在宅にて食事などの面でフォローしつつ、実祖父母を介護。満足のいく看取りを経験しました。現在当時の経験を活かし、ライターとして活動しています。

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