「訪問介護のモニタリングの書き方がわからない」とお悩みではないですか・モニタリングは、訪問介護の指定基準に記載されているサービス提供責任者の業務となります。初めて行う際には、難しく感じることもあるかと思います。
訪問介護のモニタリングとは?担当者・頻度を解説
介護保険サービスを提供するときに必要な業務の一つにモニタリングがあります。モニタリングを実施し、記録に残すことは事業所の適切な運営に欠かせません。ここでは、訪問介護のモニタリングについて基本を解説します。
訪問介護のモニタリングとは:実施状況の確認・評価
訪問介護におけるモニタリングとは、サービスの実施状況を確認・評価する業務のことです。定期的なモニタリングを行うことで利用者の変化に気付き、要望や状態に対応した最適な支援につなげていきます。
モニタリングの担当者:サ責
訪問介護計画の実施状況を把握し、必要に応じて計画の変更を行うことは、「訪問介護の指定基準第24条」に記されているサービス提供責任者の業務です。そのため、モニタリングは対象となる利用者のサービス提供責任者が担当してください。
利用者宅への訪問・電話などで、本人や家族からサービスについての要望をヒアリングするほか、体調や生活状況の確認も行います。
日頃訪問しているヘルパーからの報告をもとに、実際にサービス提供責任者が確認して改善点の有無を評価します。
参照:厚生労働省|指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準
サービス提供責任者の仕事内容についてはこちらもご覧ください。
モニタリングの頻度:短期目標の期間内
訪問介護事業所が行うモニタリングには、頻度の定めがありません。訪問介護計画の短期目標期間内に1回以上行うのが一般的です。短期目標に対して実施状況を確認・評価することで、計画に変更が必要な場合もスムーズに対応できます。
また、利用者の状態に変化が見られたときや、ヘルパーからの報告で気になる点があるときにもモニタリング訪問を実施するとよいでしょう。
早急にケアプラン変更が必要な場合は、ケアマネージャーに報告してください。
モニタリングシート・評価の書き方
モニタリング訪問をおこなったら、記録に残すことが重要です。監査が入ったときにわかりやすいよう、事業所内で保管方法を統一しておくとよいでしょう。ここでは、モニタリングや評価の書き方を紹介します。
使いやすい書式にまとめる
モニタリングの記録には、決まった書式はありません。必要な項目を予めまとめた評価表やモニタリングシートがあると作成しやすく便利です。介護ソフトに含まれているものや、一般的な書式を利用している事業所が多いでしょう。
サ責ごとに書き方が異なると情報が見にくいため、事業所で統一した書式を使いましょう。
モニタリングシートの項目
モニタリングシートや評価表に記載する項目は以下の通りです。
- 利用者名
- 記入者名
- モニタリング実施日、記入日
- 短期目標
- 実施状況
- 利用者や家族の要望など
- 評価
- 今後の方針
- 特記事項
実施状況と評価には、〇△✕の段階評価やコメントを記入します。実施状況や要望などに応じてサービス内容変更が必要な場合、その旨を記載してください。
【例文】訪問介護モニタリングの内容別記入例
次に、訪問介護のモニタリングで記入するコメントについて例文を紹介します。ケアプランに位置づけられる機会の多いサービス行為をまとめたので、ぜひ参考にしてください。
排泄介助
排泄の状況の他、皮膚状態や身体の動きについての気付きを記録しましょう。
(記入例)
声掛けににこやかに反応あり。横を向く、腰を浮かすなどの動作良好。6/20長女より、鼠径部に赤みがあるとの話あり。本人も痒みがあり、引っ搔いたような痕があったが翌日には消失。その後皮膚状態良好。排泄の状況に変化は見られず、パット内に毎回(++)程の尿あり。定時のおむつ交換、陰部洗浄により、清潔保持ができている
入浴介助
入浴状況の他、着脱の様子や入浴動作、皮膚状態、入浴手順の変化を記録しましょう。
(記入例)
拒否なく入浴、清潔保持ができている。本人より、浴槽をまたぐ際の足が上がりにくくなったとの発言あり。客観的な変化は見られないが、ヘルパー介助による安全確保のもと、今後も観察を行う。浴槽台を使うほどではないとのこと。
服薬介助
服薬状況の他、薬の保管状況、嚥下に変化があれば記録しましょう。
(記入例)
ヘルパーの介助により服薬、体調の維持ができているが、薬カレンダーの中身を動かした形跡があるとの報告を受け、訪問。7/1(水)訪問時、当日の朝薬が7/3(金)の場所に入っていて、7/3(金)の昼薬が入っていなかった。テーブルに7/3(金)昼薬の空き袋があったため、間違って服用したと思われる。この日1回限りだったため経過を見ているが、今後もあるようなら薬の保管方法を検討する必要がある
口腔ケア
口腔ケアの様子、洗面所までの歩行状態、口腔内の変化についても記録しましょう。
(記入例)
一緒に洗面所へ行き、歯ブラシを渡すと自分でブラッシングできる。ヘルパーが声掛けするまで同じ部分を磨いているため、声掛けしながら見守りを行った。移動や口をゆすぐなどの行為は、声掛けがあれば自分でできた。口腔内に異常なし。ヘルパーの声掛けにより、口腔内の衛生が保たれている
調理(自立支援のために一緒に行う)
調理の様子や本人の意欲、調理の手順、食事量についても記録しましょう。ここでは、自立支援のための一緒に行う調理として例文を紹介します。調理の他にも、自立支援のための掃除や洗濯などにも応用してください。
(記入例)
手の振戦が続いているが、里芋などの滑りやすい食材以外は包丁でカットできるようになった。立位だと不安定なため、椅子に座りダイニングテーブル上でカットすることを提案した。一緒に行うことで、自分の味付けもよいが美味しいレシピがあれば試してみたいと、料理に関して意欲が見られた
掃除
室内の様子やごみ捨ての状況、食べこぼしやトイレ汚れの気付きなども記録しましょう。
(記入例)
部屋はいつもきれいに整頓されている。本人ができない掃除機掛け、床拭き、浴室掃除を実施し、清潔な環境が保たれている。特に目立った汚れはない。腰が痛くて困っていたので、ヘルパーさんがきれいにしてくれて助かると言っていた
買い物
買い物リストの作成や購入品の重複、食材の残り具合、食事量や嗜好の変化についても記録しましょう。
(記入例)
買い物リストは本人が作成している。配食弁当を利用しているが味噌汁だけは毎日作っているそうで、味噌汁用の野菜を毎回購入している。その他、朝食用のパン、卵、牛乳、トイレットペーパーなどを購入。買い物代行を受けることで、不便なく生活できている
その他
サービス内容以外にも気づきがあれば記録しましょう。生活サイクルや家族の状況、表情や反応に変化を感じたら、些細なことでも記録に残しておきましょう。
(記入例)
訪問時、臥床していることが増えた。長女の話では、10時くらいまで眠るようになったとのこと。起床時間に合わせ、ヘルパー訪問時間の見直しをする必要あり」
本人より、長女が足を骨折してしばらく来られないとの話あり。その間、買い物は長男がしてくれるとのこと。今のところ、ヘルパーの追加は不要との話」
訪問介護のモニタリングはシートや例文を活用して効率よく書こう
訪問介護のモニタリングは、利用者の状態を把握し最適なサービス提供につなげるための重要な業務です。サービス提供責任者の仕事として指定基準にも記されてるため、忘れずに行ってください。
モニタリングの記録に決まった書式はないため、作成しやすいフォーマットを事業所単位で準備するとよいでしょう。訪問介護で使える例文をもとに、訪問介護計画に沿った記録を作成しましょう。