利用者のわがままな言動に困った経験がある方も多いのではないでしょうか。介護サービスの利用者の中には、淋しさや不安、病気などにより、介護士がつらく感じる行動をとる方もいらっしゃいます。
介護の利用者がわがままな言動をする原因
介護サービスの利用者がわがままな言動をする原因には、一人ひとりの生活や人生などの背景が関係している場合があります。ここでは、利用者がわがままになる原因の代表例をご紹介します。
淋しさや不安からくるもの
一人暮らしをしている方や外出が難しくなった方、夫や妻を亡くした方など、日頃から淋しさを抱えている利用者は多いです。また、高齢になったことで、今後の生活や健康に関する不安も大きいと考えられます。
病気によるもの
認知症や精神疾患などの病気が原因で、混乱したり感情のコントロールできなくなったりするケースも見られます。認知症の場合、種類によって以下のような違いがあります。
- 脳血管性認知症:感情のコントロールが上手くできない感情失禁が特徴
- レビー小体型認知症:幻視や妄想から逃れるための暴力が出やすい
- 前頭側頭型認知症:理性的な行動ができず急に怒りっぽくなる
性格によるもの
利用者本人のもともとの性格が影響している場合もあります。長く生きてきた人生の中で築き上げられた性格は、本人が自覚していてもとっさの言動に現れることがあります。
利用者が育った環境や生活歴なども関わっているため、家族の話などから情報を得るとよいでしょう。
【事例】介護現場で見る利用者のわがままな言動
介護現場では、利用者のわがままな言動に戸惑うときもあるでしょう。介護サービス利用者に見られる「かまってちゃん」な行動、偉そうに感じる態度などを実例でご紹介します。
事例1.他の利用者に暴言を吐く・怒鳴る
通所サービスなど、複数の利用者と過ごす環境で、他の利用者やスタッフに対して困った行動をする事例があります。周囲に暴言を吐いたり、大きな声で怒鳴ったりするケースです。
興奮して周りの方に手が当たってしまうことや、対応したスタッフがケガをしたり嚙まれたりすることもあります。
事例2.できないことを強引に依頼してくる
介護保険サービスでできない行為やスケジュール上対応できないことなどを、強引に頼んでくる利用者も存在します。できないと断っても、「他にしてくれる人がいない」「あなたにしてもらえなかったら生活できない」と言う方や、怒ってしまう方もいます。
対応可能な方法を提示しても納得せずに一方的に要求されると、介護者も対応に困るでしょう。
事例3.一人だけ特別扱いされている
事業所や施設のルールで対応不可と決めていることを、一人だけ認められている利用者も見られます。利用者が会社社長の親族の場合や、利用者家族が会社と関わりのある人物の場合に見られるケースです。
わがままな利用者への対応方法
利用者の言動への対応では、一人ひとりの背景に寄り添う姿勢と利用者の理解が重要です。介護サービスにおける、利用者の困った行動への対応方法を解説します。
利用者に寄り添い状態を理解する
わがままな利用者に直面したときは、利用者の訴えを傾聴し行動を観察しましょう。困った発言をしている理由を考え、行動の背景を理解することで、本当の要望がわかる場合があるためです。
利用者の病気を理解する
病気の影響でわがままな言動がある場合、介護職員には病気の理解が求められます。個人での学習も大切ですが、事業所や会社単位で研修会を主催し、スタッフ全員が共通して学べる環境作りも重要です。
定期研修などの年間計画に取り込むのもよい方法です。
信頼関係を築く姿勢で接する
日頃から利用者とコミュニケーションを取り、信頼を深めておくことも大切です。信頼関係が築けていると利用は介護士に意思を伝えやすくなるため、要望が大きくなる前に対処することが可能になります。
普段から挨拶や声掛けをするなど、小さなことを積み上げていきましょう。
【NGワード】介護士のタブーや言ってはいけないこと
わがままな言動をする利用者であっても、関わるときには礼儀とマナーが必要です。また、介護のプロとして、感情的にならずに専門知識をもった対応が求められるでしょう。介護士が利用者に接する際のタブーを見ていきましょう。
利用者に対してキレる・暴言を吐く
利用者に対してキレたり暴言を返したりするのは、礼節にかける行為です。介護士としても、利用者の理解や寄り添いができていないと言えます。利用者を呼び捨てにした声掛けや、命令口調・威圧的な発言はNGワードです。
どのようなときも、丁寧な態度と言葉遣いを心がけましょう。
利用者を無視する
利用者の呼び止めや要望に対して無視をするのは、不安症状や認知症の悪化につながるリスクがあるため避けてください。利用者の人格を傷つけるだけではなく、病気の視点から見ても介護士に相応しくない行為です。
利用者の言動に困ったとしても、介護のプロだという自覚を持って対応しましょう。
利用者理解を怠り一方的に問題視する
利用者を理解する努力をせず、一方的に問題行動だと決めつけるのは自分勝手な行為です。利用者に寄り添い、客観的に状況把握するスキルを身につけるのも、介護士としての学びになります。
利用者の状態は一人ひとり異なるため、事例のたびに成長できると捉えれば、困難もチャンスに変わるでしょう。
わがままに限界を感じたときは無理をしない
利用者のわがままに限界を感じた際は、無理せず自分の負担を軽減できる方法を考えましょう。ここでは、限界を感じるほどのストレスを抱えるリスクと、取るべき対応を解説します。
ストレスを抱え続けるデメリット
常に大きなストレスにさらされ続けると、「介護うつ」や「利用者への暴力」に繋がることがあります。
介護うつ
介護うつとは、介護が原因で発症するうつ病のことです。介護による肉体・精神的疲労が蓄積され、食欲不振・睡眠障害・疲労感などの症状が現れます。身体に異常を感じた場合は、受診や休職をするなどの対策をしてください。
利用者への暴力
利用者のわがままに対応するストレスにより、いら立ちが抑えられずに利用者への暴言や暴行につながる懸念があります。暴言・暴行に至ってしまうと取り返しのつかない事態になる場合もあるため、辛さに耐えられないと感じたときは早めに対処しましょう。
上司やケアマネージャーと連携する
利用者と関わるストレスが大きい場合は、上司や同僚に相談するとよいでしょう。事業所や施設の中で解決できない場合は、ケアマネージャーと連携して対応を考えます。
一人で抱え込まずにチームや事業所として対応するのがポイントです。
転職も選択肢に入れる
利用者の言動や対応に限界を感じた場合、転職を視野に入れるのもよい方法です。有資格者限定のバイトアプリ「カイテク」を利用すれば、単発や掛け持ちで働いてみてから転職につなげることも可能です。
自分に合った職場を探したい方には「カイテク」の活用をおすすめします。
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利用者のわがままには一人ひとりの背景を理解して適切に対応しよう
介護サービスの利用者には、一人ひとり異なる状況や人生経験があります。わがままな言動をする利用者もいれば、その背景にはさまざまな事情を抱えていることがあります。利用者の気持ちや状況に寄り添って対応することが重要です。その際、一人で抱え込まないで、上司や同僚に相談し、事業所としての対応を考えましょう。