看護師の就業先と言えば、真っ先に病院が思い浮かぶのではないでしょうか。しかし、高齢者人口の増加に伴い、デイサービスを利用する高齢者の数も年々増加しています。
需要が増え続ける介護業界ですが、デイサービスでの就業は夜勤がないため、子育てとの両立を目指す方にとって、良い選択肢のひとつになるのではないでしょうか。
デイサービスの施設概要
デイサービスとは、正式名称を「通所介護」と呼ばれるもので、要介護1~5の介護認定を受けた方が対象になります。利用者ができる限り自宅にて自立した生活が送れるように孤立感の解消や心身機能の維持、家族の介護負担軽減を目的にサービスを提供します。
また、利用者は自宅からデイサービスへ通いますが、送迎も施設がおこないます。食事や入浴など日常生活の支援や生活機能向上のための機能訓練や口腔ケアなどを日帰りで提供します。
参考:どんなサービスがあるの? – 通所介護(デイサービス)
看護師の人員配置基準
デイサービスにおけるサービスを提供するために必要な人員配置基準についてご紹介します。
以下は看護師と介護士の配置基準になります。
・看護職員(看護師・准看護師) 単位ごとに専従で1以上
(※通所介護の提供時間帯であれば専従する必要はなく、訪問看護ステーション等との連携も可能。)
・介護職員
①単位ごとにサービス提供時間に応じて専従で次の数以上(常勤換算方式)
ア 利用者の数が15人まで 1以上
イ 利用者の数が15人を超す場合 アの数に利用者の数が1増すごとに0.2を加えた数以上
② 単位ごとに常時1名配置されること
③ ①の数及び②の条件を満たす場合は、当該事業所の他の単位における介護職員として従事することができる
上記では、看護師は常勤である必要はありませんが、介護職員は常勤でなければなりません。施設の職員割合は介護士がもっとも多く、看護師は1~2名など少ない人員になるようです。
デイサービスでの看護師の役割とは?
看護師の仕事は傷病者などの療養上の世話や診療の補助をおこなうことです。ですが、デイサービスでは診療はおこなわず、利用者の自立した日常生活支援をおこないます。
業務内容が異なるデイサービスにおいて看護師の役割をここでは紹介します。
参考:看護職とは
看護師の仕事内容
看護師がおこなうデイサービスの仕事内容には以下が該当するようです。
- バイタルチェック:血圧や体温、健康状態の確認
- 口腔ケア:嚥下評価、口腔を清潔に保つ歯磨きなどのケアを実施
- 看護記録:経過記録、健康状態など記載
- 医療ケア:利用者に応じて、褥瘡処置やインスリン注射などの医療処置をおこなう場合があります。
- 介護業務(サポート):食事介助、入浴介助、レクリエーションの実施など介護士の業務も兼任することが実際の現場では多く見受けられます。
デイサービスでは、病院のような医療処置をおこなうことはあまりありませんが、介護士が多く在籍しており、介護士の業務サポートをおこなうことが多い施設もあり、看護師業務に専念できないこともある点には注意が必要でしょう。
デイサービス看護師の1日
ここでは、デイサービスで働く看護師の一日のスケジュールがよりイメージしやすいよう以下でお伝えします。
8:30〜【出勤】
9:00〜【バイタルチェック】
デイサービスに到着した利用者の体温や血圧の測定、健康状態の確認をおこないます。
10:00〜【入浴介助、機能訓練、服薬管理】
利用者の入浴介助を介護士がおこない、看護師は内服の確認などのケアを実施します。必要に応じて、褥瘡の処置や軟膏塗布などの医療行為も実施します。
11:30〜 【昼食、服薬管理、口腔ケア】
栄養士が立てた献立をもとに栄養バランスの整った食事が提供され、必要に応じて介助をおこないます。嚥下能力が低下している方もいるため、注意が必要です。また、糖尿病の持病がある方など血糖測定やインスリン注射をおこなう場合があります。
12:30~ 【休憩】
13:30〜 【レクリエーション、記録】
ゲームや体操、脳のトレーニングなどを介護士がおこないますが、看護師も参加する場合があります。記録や連絡ノートがある場合は記入をおこなう。
15:00〜 【おやつ】
利用者はおやつを食べます。必要があれば食事介助や配膳、下膳をおこないます。
16:00〜 【送迎、片付け、翌日準備】
施設のスタッフが、車で自宅まで送迎します。帰宅時間は利用者により異なるため、全員が帰宅するまで時間がかかります。
17:30~ 【退勤】
業務内容に多少の前後や差異はありますが、概ね同様の業務内容になると思われます。施設によって、レクリエーションや食事に力を入れ施設の特色としてアピールしている場合があるため、ご自身の目的にマッチした運営方針の施設を選ぶとよいでしょう。
デイサービスにおける看護師が目指す目標
これまでデイサービスにおける看護師の役割を説明しましたが看護師の視点での目標にはどんなことがあるのでしょうか。
ここでは働く方の例をあげながら目標についてご紹介します。
利用者のQOL向上
「QOL=生活の質」と訳され「単に疾病がないということではなく、身体的、精神的、社会的にも満足のいく状態にあること」と定義されています。
利用者がその人らしく、満足のいく生活を実現するためサポートをおこなうことがデイサービスにおいても大切にされています。
利用者満足度の向上は施設が掲げる運営方針にも設定されることが多いため、デイサービス看護師においても目標になるのではないでしょうか。
心身の機能維持および改善
デイサービスでの目標のひとつに、要介護状態の利用者に対して、ADLの維持及び改善を設定することも多いのではないでしょうか。介護レベルがあがるにつれ、介護必要度や介護負担は増加します。
利用者が寝たきりになるのを防止し、自立した日常生活が継続して送れるようにサポートすることは高齢者介護においてとても重要な考え方でしょう。
デイサービスと病院の違い
厚生労働省の調査によると、就業場所別にみた看護師の構成割合は病院が69.0%にのぼる一方、デイサービスが含まれる介護保険施設の割合は7.9%と1割にも満たないようです。
この介護保険施設にはデイサービスだけでなく、他の介護施設も含まれるので、デイサービスで働く看護師はごく少数になるでしょう。
ここでは、看護師が少ないデイサービスと就業している看護師が多い病院の違いを収入の比較などを用いて解説します。
参考:令和2年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況
医療行為が少ない
病院に勤務する看護師の主な業務は医療行為です。
医療ケアを実施する病院では、看護スキルの向上を図れます。しかし、医療行為をおこなう機会が少ないデイサービスでは、看護師でも介護業務をおこなうことが多いようです。
施設によって実情は異なりますが、看護スキルの向上にはつながりにくいでしょう。
急変時に臨機応変な対応が必要
高齢者が利用するデイサービスでは、緊急時の対応を行わなければならない場面に遭遇するかもしれません。病院であれば医療機器が整っており、医師や看護師が多く在籍しているので緊急時の対応も相談することができます。
病院とは違って限られた医療資源での対応を求められるデイサービスでは、指示を聞くこともできず、適切な判断を焦らずにおこなう臨機応変な対応が必要になります。
年収には差がでてしまう
厚生労働省と日本看護協会の調査によると通所介護と病院のそれぞれの月収は以下になります。
【平均月収】
- デイサービス看護師:35万4,319円
- デイサービス准看護師:32万6,620円
- 病院看護師:38万6,046 円
年収に関しては通所介護での正確なデータがないので大まかな数字になりますが、上記の平均月収×12ヵ月で計算すると425万1,828円になります。
一方の病院では、「2012年病院勤務の看護職の賃金に関する調査報告書」によると非管理職の平均年収は481万2,246円になり、50万円以上もの差がでてしまいました。
夜勤の有無などが関係していると思われますが、病院に比べデイサービスで働く看護師の収入は低い傾向のようです。
参考:2021 年 看護職員実態調査
参考:「令和4年度介護事業経営実態調査結果」
参考:2012年病院勤務の看護職の賃金に関する調査報告書
デイサービスにおけるやりがい
デイサービスで得られるやりがいについては以下のような事例が多いようです。
- 利用者の孤独の解消
- ADL(日常生活動作)の改善
- デイサービスを楽しいと感じてもらう
- 利用者からの感謝の言葉
- 寄り添ったケアの実現
上記のような事例は、利用者の満足度向上や生活機能の改善など目に見える実感が得られるため、やりがいにつながりやすいでしょう。
デイサービス看護師が抱える悩み
介護施設で働く看護師の数は少数であると説明しましたが、デイサービスも例外ではありません。
看護師がデイサービスで抱える悩みには、介護士との関係性が挙げられます。
介護士の意見として「介護業務をせず使えない」「指示ばかりしてうざい」など業務範囲の違いや働く環境によっては仕事を認めてもらえず評価されないばかりか辛辣な意見につながることもあるようです。
デイサービス看護師になるにあたって
子育てとの両立を目指す方にとってデイサービスでの就業は夜勤もないため、選択肢のひとつではないでしょうか。
ここでは、デイサービス看護師になるにあたり、事前に知ってほしい注意点や求職の際に役立つ情報をお伝えします。
病院での経験が活かせる
デイサービスにおいて医師が常駐している施設はほとんどないのが実情です。そのため、急変時の対応は看護師に求められます。
臨機応変な対応や適切な処置など病院での経験がある場合には急な対応にも十分対応できるため、施設も積極的に採用したいと考えます。
新卒での入社や対応に不安を感じる方は施設の緊急マニュアルや「かかりつけ医」の確認など事前の準備を必ずおこないましょう。
介護についての知識も必要
デイサービス(通所介護)は介護保険サービスに分類されます。
これまで病院で勤務されていた方は患者に対しての医療行為に対して保険制度から医療機関へ診療報酬が支払われていました。しかし、デイサービスなどの介護施設では事業者が介護認定を受けた利用者に対して介護サービスを提供した場合に対価として介護報酬は支払われます。
参考:介護報酬の仕組みについて
参考:介護報酬 |厚生労働省
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デイサービスでの働き方は仕事と生活の両立ができる!
デイサービスにおける看護師の役割は高齢者の健康維持に貢献できる魅力ある仕事です。しかし、医療行為をおこなう機会が少なく看護スキルの向上にはつながりにくい点には注意が必要でしょう。
夜勤がなく、日曜日が休みの施設も多いので、子育てとの両立を目指す方やブランクがある方にこそおすすめできる職場ではないでしょうか。
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