【令和3年度改訂対応】知っておきたい訪問看護における緊急時加算の仕組み

介護保険における「緊急時訪問看護加算」と医療保険における「緊急訪問看護加算」についてご存じでしょうか。現在、高齢化が急速に進む中、地域医療を支える訪問看護では、緊急時の対応や24時間のサービス提供体制の強化が急務とされています。ふたつの加算は、こうした利用者ニーズに応えるために創設されましたが、その名前が似ているため、戸惑う方も多いのではないでしょうか。

この記事では、緊急時訪問看護加算と緊急訪問看護加算の違いや要件について詳しく解説しますので、ぜひこの機会に理解を深めていただきたいと思います。

目次

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訪問看護サービスとは

訪問看護とは、自宅などの居宅において療養が必要な状態にあり、看護師などが療養上の世話や必要な診療の補助、リハビリテーション等をおこなうサービスです。サービスの提供は、病院・診療所、訪問看護ステーションの両者からおこなうことができます。

参考:訪問看護
参考:訪問看護(改定の方向性)

利用する方の条件によって医療保険と介護保険に分けられる

適用される保険によって、医療保険による「訪問看護療養費」と介護保険による「訪問看護費」に分けられ、それぞれ算定項目が異なります。利用者は、年齢や疾患、状態によって医療保険または介護保険のどちらかの適応となります。

給付に関しては、医療保険よりも介護保険を優先することと健康保険法によって規定されていますが、要介護被保険者などについては、末期の悪性腫瘍、難病患者、急性増悪等による主治医の指示があった場合などに限り、医療保険の給付により訪問看護がおこなわれます。

参考:訪問看護 (参考資料)

訪問看護の対象者

訪問看護を利用される方はどのような条件によって医療保険または介護保険を給付することができるのでしょうか。

医療保険による訪問看護サービス対象者

  • 40歳未満の医療保険加入者
  • 要介護または要支援の認定を受けていない者
  • 入院患者の外泊中に退院に向けた訪問看護を受ける場合(要介護等の認定にかかわらず)
  • 要介護または要支援の認定を受けている者で、以下に該当する者

特別訪問看護指示書が交付されている者
・厚生労働大臣が定める疾病等に罹患している者(末期の悪性腫瘍、多発性硬化症、パーキンソン病関連疾患など)
・精神科訪問看護指示書が交付されている者

介護保険による訪問看護サービス対象者

  • 第 1号被保険者:65歳以上で要介護または要支援の認定を受けている者
  • 第 2号被保険者:40歳以上 65歳未満の者で、16の特定疾病に罹患し、要介護または要支援の認定を受けている(関節リウマチ、末期の悪性腫瘍、パーキンソン病など)

主治医からの訪問看護指示書とは

訪問看護指示書とは、主治医が訪問看護が必要と判断した者について、主治医から訪問看護ステーションに対して交付する書類です。訪問看護サービスの提供には必ず訪問看護指示書が必要になります。また、急性増悪などで頻回(週4日以上)の訪問看護の必要があると認めた場合には「特別訪問看護指示書」が交付されます。

特別訪問看護指示書が交付された場合には、介護保険から医療保険へ切り替わりますのでご注意ください。

介護保険:「緊急時訪問看護加算」とは

介護保険における「緊急時訪問看護加算」とは、中重度の要介護者の在宅生活を支える体制をさらに整備する目的で、24時間体制のある訪問看護事業所の体制を評価する加算です。

24時間対応できる体制のある訪問看護事業所からの緊急時訪問を評価することとされており、具体的には、現行、早朝・夜間、深夜の訪問看護に係る加算について2回目以降の緊急時訪問において、一部の対象者(特別管理加算算定者)に限り算定できることとなっていますが、この対象者について拡大を図ることとされています。

「緊急時訪問看護加算」:算定する要件

緊急時訪問看護加算の算定要件は以下になります。

  • 利用者またはその家族などに対して24時間連絡できる体制にあること
  • 計画的に訪問することとなっていない緊急時の訪問ができる体制にある場合
  • 利用者やその家族に緊急時訪問看護加算算定の同意を得ていること

「緊急時訪問看護加算」:単位数

緊急時訪問看護加算の単位数は以下です。

  • 訪問看護ステーション:574単位/月
  • 病院または診療所:315単位/月

「緊急時訪問看護加算」:留意すべき点

緊急時訪問看護加算の留意すべき点としましては、ひと月内の2回目以降の緊急時訪問の場合は、一部の対象者を除いて早朝・夜間、深夜の訪問看護に係る加算を算定するとされています。介護報酬改定に伴い、緊急時訪問看護加算の対象者は拡大されております。

「緊急時訪問看護加算」:介護予防ではどうなるの?

介護保険における「緊急時訪問看護加算」について上記でお伝えしましたが、介護予防においてはどうなるのでしょうか。結論を申し上げると、緊急時訪問看護加算は介護予防においても単位数や算定要件は変わりません。

介護保険と同じ体制の整備などが必要になりますので覚えておきましょう。

医療保険:「緊急訪問看護加算」とは

次は医療保険における「緊急訪問看護加算」についてご紹介します。名称に「時」が入っておらず類似していますが保険制度から違う加算ですので注意してください。緊急訪問看護加算は、主治医の指示を受けた訪問看護ステーションが計画的な訪問以外の訪問看護を行った場合に1日につき1回算定できる加算になります。

「緊急訪問看護加算」:算定する要件

緊急訪問看護加算を算定するには算定する要件をクリアしなければなりません。

算定要件については以下になります。

  • 訪問看護・指導計画に基づいておこなわれる定期的な訪問や指導以外であること
  • 診療所または在宅療養支援病院の保険医の指示によること
  • 保険医は指示内容を診療録に記載すること
  • 診療所または在宅療養支援病院が、24時間往診および訪問看護により対応できる体制を確保していること
  • 24時間連絡を受ける連絡担当者の氏名、電話番号、担当日、緊急時の注意事項など往診担当医並びに訪問看護担当者の氏名などを文書で利用者に提供していること

「緊急訪問看護加算」:単位数

緊急訪問看護加算の単位数は以下になります。

  • 1日につき265点(2650円)

上記点数を所定の点数に加算するとされています。

「緊急訪問看護加算」:留意すべき点

算定要件にてお伝えしましたが診療録に内容を記載することや24時間往診および訪問看護にて対応できる体制を確保していなければならない点には気をつけましょう。また、関連した加算に「24時間対応体制加算」という加算も存在し、こちらは24時間体制での電話などによる相談に対応できる施設を評価する加算となっており、ひと月に6400円算定できます。

緊急時訪問看護加算と緊急訪問看護加算ふたつの違い

「緊急時訪問看護加算」と「緊急訪問看護加算」のふたつの違いは保険制度の違いです。類似した名称および内容ですが、対象者がどちらの保険制度を利用されるかでそれぞれの加算を算定する流れになります。

緊急時訪問看護加算に関する質問

ここでは、緊急時訪問看護加算に関するご質問について岡山県保健福祉部が作成した資料を参考にここではご紹介します。

参考:「診療報酬との算定調整」及び 「医療保険と介護保険の給付調整」

緊急時訪問看護加算の算定はケアプランの変更が必要?

緊急時訪問看護加算の算定にはケアプランへの記載が必要になります。

緊急時訪問看護加算を新たに算定する場合などで変更が生じる際にはケアプランの再作成をおこないましょう。

緊急時訪問看護加算は2事業所で算定できるの?

「緊急時訪問看護加算」は1ヵ所の訪問看護ステーションに限り算定できる加算となります。

複数の訪問看護ステーションが緊急時の対応をおこなった場合などは、算定にあたって訪問看護ステーション間の調整が必要となるので注意が必要になります。

ふたつの加算を理解して事業所運営に活かそう!

訪問看護における「緊急時訪問看護加算」と「緊急訪問看護加算」は名称こそ類似していますが、介護保険と医療保険で報酬制度が違う加算であることをお伝えしました。訪問看護では、対象者の条件によって医療保険と介護保険に分けられるため、ふたつの保険制度に関しての理解が必要になります。この記事が算定する際の不安解消に少しでも貢献できれば幸いです。

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この記事を書いた人

Iharaのアバター Ihara 運営者

15社以上のオウンドメディア・コンテンツの企画・戦略設計の経験を持つマーケティングアナリスト。大学在籍時に中小企業診断士一次試験突破。ASO・SEOを中心に活動しており、アプリ・インフルエンサーマーケティングにも精通がある。
介護・看護職のための単発バイトメディア「カイテク・メディア」の編集長。
介護・看護職のよりどころ「ケアマガジン」の運営者。

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