介護福祉士国家試験に挑戦する場合、実務経験の要件を満たして受験する方法があります。その際、実務経験を証明する書類の提出が必須となっています。書類の内容に誤りや虚偽記載があると、合格が取り消される可能性がありますので、正しい書き方を知ることが重要です。
実務経験のごまかしは不正行為
介護福祉士試験を受ける際、書類は正しく書くことが重要です。実務経験の要件を満たしていないにもかかわらず、満たしているように偽って記載して受験した場合、不正行為として合格取消になる可能性があります。
介護福祉士試験における実務経験
介護福祉士の試験には受験資格の規定があり、3つのルートのいずれかを満たす必要があります。実務経験は、3つのルートのうちの実務経験ルートで受験する場合に必要な要件です。
介護福祉士試験の受験資格3ルート
- 養成施設ルート
- 指定の養成施設を卒業して受験
- 実務経験ルート
- 3年以上の実務経験+定められた研修を修了して受験
- 福祉系高校ルート
- 指定の福祉系高校等を卒業して受験
受験資格の詳細は、以下サイトをご覧ください
公益財団法人 社会福祉振興・試験センター
実務経験証明書とは
実務経験証明書とは、先ほどご紹介した実務経験ルートで介護福祉士を受験するときに必要な書類です。実務経験の要件を満たしていることを証明するもので、勤務先の情報や事業の種類、従事した期間と日数などを記載します。
実務経験は正しく記載しよう
介護福祉士の試験を受験するときは、実務経験証明書に実務経験の根拠を正確に記載する必要があります。誤った日数や期間で提出した場合、合格が取り消しになる可能性が高いため、正しく計算することが大切です。
実務経験3年の計算と対象分野
実務経験証明書を正しく記入するためには、実務経験の範囲を把握して計算することが重要です。ここでは、実務経験の計算方法と対象となる分野を紹介します。
実務経験の計算方法|従業期間と従事日数
実務経験ルートでは、以下の全てを満たす必要があります。
- 従業期間3年(1,095日)以上
- 従事日数540日以上
- 実務者研修、または介護職員基礎研修+喀痰吸引等研修
従業期間とは実務経験の対象施設・職種での在職期間のことで、従事日数は雇用契約にもとづいて実際に介護などの業務を行った日数を指します。1日の勤務時間は問わないため、短時間働いてもフルタイムで働いても同じ1日と数えてください。
また、従業期間と従事日数は一つの事業所だけで満たす必要はなく、転職などで複数の勤務先で働いた場合は合計できます。実務経験ルートでは、この期間が3年(1,095日)以上、かつ540日以上必要です。
実務機関の詳細は、以下よりご確認ください
社会福祉振興・試験センターホームページ
掛け持ちで働いた場合
業務や事業所を掛け持ちして働いた場合、すべての従事日数を合計して計算できます。ただし、同じ日に複数の事業所で働いたときの従事日数は、1日として扱われるため注意しましょう。
掛け持ちの場合の書類の詳細は以下よりご確認ください
社会福祉振興・試験センターホームページ|受験資格
実務経験見込みの場合
申し込みの時点で従業期間と従事日数を満たしていない方も、試験実施年度の3月31日までの日数で満たすことができれば受験資格が得られます。その場合、「実務経験見込み」として申し込みを行います。
申し込みが終わり、その後に必要な日数を満たすことができたら、改めて実務経験証明書を作成し手続きしましょう。
社会福祉振興・試験センターホームページ|受験資格
社会福祉振興・試験センターホームページ|よくあるご質問
実務経験の対象となる分野・事業
実務経験の対象となる分野と施設・事業、職種の一例をご紹介します。下記の他にも対象となる事業や職種、対象外の職種などがあるため、社会福祉振興・試験センターホームページでご確認ください。
児童分野
- 受験資格となる施設・事業
- 知的障害児施設、知的障害児通園施設、児童発達支援、放課後等デイサービスなど
- 受験資格となる職種
- 保育士、介助員、看護補助者、看護助手、指導員など
障害者分野
- 受験資格となる施設・事業
- 短期入所、障害者支援施設、療養介護、グループホーム、居宅介護など
- 受験資格となる職種
- 介護職員、介助員、寮母、訪問介護員など
高齢者分野
- 受験資格となる施設・事業
- 老人デイサービスセンター、指定通所介護、特別養護老人ホーム、指定訪問介護など
- 受験資格となる職種
- 介護職員、介護従事者、介助員、訪問介護員など
実務経験対象の事業や職種の詳細は、以下でご確認ください
社会福祉振興・試験センターホームページ|実務経験の範囲
実務経験証明書の作り方
実務経験証明書は介護福祉士試験の重要書類です。次に、書類の入手方法や有効期限、記入は誰に頼むかを解説します。
入手方法|郵送またはダウンロード
実務経験証明書の入手方法は以下の二通りです。
- 受験申し込み時に請求する「受験の手引」に同封されたものを使用する
- 社会福祉振興・試験センターのホームページからダウンロードして使用する
受験の手引きは、介護福祉士の試験を受験する際の書類や手続きに関する情報がまとめられたものです。入手できる時期が限られているため、受験を検討している方は確認が必要です。受験の手引きは請求後に郵送で届くため、余裕を持って準備しましょう。
実務経験証明書のダウンロードについては以下をご確認ください。
社会福祉振興・試験センター|実務経験証明書、従事日数内訳証明書の様式と記入方法
記入者|基本は働いた事業所
実務経験証明書の記入は、基本的には雇用されている事業所や施設、会社の担当者が記入します。ただし、退職した事業所が廃業している場合や記録が処分されていた場合は、自分で必要書類を作成する必要があります。
基本:事業所や会社に依頼
現在介護サービスなどで働いている場合、雇用されている事業所や施設、会社に依頼して記入してもらいます。用紙は自分で入手するのが一般的です。書き方は受験の手引きやホームページに記載されているので、不備のないよう自分でもチェックしましょう。書類の記入者は証明権限を有する代表者になるため、依頼する窓口や担当者も確認しておきましょう。
事業所の廃業などにより自分で作成する場合
受験資格に必要な実務経験を確認するため、以下のすべてがわかる書類の用意が必要です。
- 施設・事業種類
- 職種
- 従業期間
- 業務従事日数
受験申し込み時に、上記1~4が確認できる書類に加え、「廃業した施設・事業所等の実務経験について(自己申告)」の提出が必要です。「廃業した施設・事業所等の実務経験について(自己申告)」の様式は、受験の手引に入っています。
事業所が作成できない場合の詳細は以下をご確認ください。
社会福祉振興・試験センター|廃業した施設・事業所等の実務経験について
有効期限|なし
実務経験証明書の有効期限はありません。実務経験を満たした実務経験証明書を提出し、受験した結果不合格だった場合、次回に受験申し込みをする際の実務経験証明書の提出は不要です。
参照:社会福祉振興・試験センターホームページ|よくあるご質問
実務経験証明書を正しく記入して介護福祉士試験を受験しよう
実務経験証明書は、介護福祉士国家試験を実務経験ルートで受験する際に必要な提出書類です。書き方を確認して正しく記入しましょう。基本的に記入は雇用されている事業所や会社が行うため、上司や担当者に依頼してください。
事業所の廃業などで作成してもらえない場合は、自分で書類を用意する必要があります。書類の作成には時間を要するため、早めに準備して試験に備えましょう。