ユニット型特養では、きめ細かい介護サポートができますが、勤務する方の中には仕事がきついと感じる方が多いようです。特養(特別養護老人ホーム)には「従来型」と「ユニット型」の2つが存在し、それぞれ居室や担当する人数に違いがあります。
現在勤務している方はもちろん、施設について知りたい方も、この情報を比較の際に参考にしてください。
特養の施設概要
要介護高齢者の生活施設として、入浴・食事・排泄などの介護や日常生活の支援、健康管理を行います。原則として、要介護3以上の高齢者を対象にし、長期利用が可能です。民間が運営する介護施設よりも利用者の費用負担が抑えられるため、一部の施設では入所待ちになるほど人気があります。
特養の種類には、「ユニット型特養」と「従来型特養」の2つがあり、それぞれの特徴について解説します。
ユニット型特養:個室タイプ
2001年以降に新設された特養は、ユニット型が主流となっており、福祉先進国のスウェーデンのケアスタイルを取り入れています。ユニットに分けるメリットは、フロアを小さい単位に分けることで、少人数の利用者に少人数の職員が対応し、利用者と職員の関係性が深まる点にあります。そのため、きめ細かいケアの実現が可能です。
従来型特養:相部屋タイプ
大人数の利用者に大人数の職員が対応する、従来からのスタイルを持つ施設です。特徴としては、他の職員との連携が取りやすく、利用者の対応も皆で協力して行えるため、業務を安心して学びや実践ができます。
ユニット型と従来型の人員配置基準の違い
タイプの違う特養についてお伝えしましたが、施設構造によって介護職員の人員配置基準も異なる点に注意が必要です。
従来型特養
利用者の数に対して人員配置基準が設けられています。
- 入所者3人に対して1人以上の介護職員または看護職員を配置します。
ユニット型特養
ユニット型特養ではユニットに対して人員配置基準が設けられています。
- 昼間は1ユニットごとに常時1人以上の介護職員または看護職員を配置します。
- 夜間は2ユニットごとに1人以上の介護職員または看護職員を配置します。
- ユニットごとに常勤のユニットリーダーを配置します。
上記を踏まえますと、ユニット型では従来型と比較して少人数での対応になるため、対応に苦慮することもあるでしょう。
ユニット型特養での仕事内容
ユニット型特養では利用者に充実した個別ケアが行えますが、グループホームなどの施設に比べ、介護度が高い利用者への介護サービスを提供するため、健康管理などの業務がより重要となります。
具体的な仕事内容についてみてみましょう。
介護サービスを提供する身体介護
身体介護とは、利用者の体に直接触れて行う介護サービスを指します。
主な業務は以下になります。
食事介助
一人で食事ができない利用者に対して、嚥下の状態に応じて介助や見守りを行います。
入浴介助
寝たきりや自分で入浴ができない方を対象に行います。
排泄介助
排泄の行為や動作が難しい方に、おむつ交換やトイレへの誘導を行います。下痢や便秘の有無の確認は利用者の健康管理の際に非常に重要となります。
移動介助
車椅子の乗り降りや移動をサポートし、歩行器を使用している方などへの支援が該当します。
生活をサポートする生活援助
日常生活を送るための援助を行うものですが、特養では以下のようなサービスが提供されます。
- 居室の掃除
- 衣服の洗濯
- 買い物代行
- シーツ交換などのベッドメイク
訪問介護などでは、利用者本人の自立支援を目的に行いますが、特養では要介護3以上の高齢者が対象となるため、そのほとんどを介護職員が行います。
※一部の業務を専門業者に依頼する事業所もあります。
レクレーションや行事の企画、実施
利用者にとって、行事やレクレーションは特養での生活の中での楽しみの一つかもしれません。身体機能の維持を目的に行うだけでなく、利用者が生活を営む際に楽しみを見つけることも重要です。夏祭りやクリスマス会などで季節感を感じられるように企画し、大掛かりな準備が必要な場合もあります。
行事やレクレーションは施設のアピールポイントともなりますので、積極的に行う施設が多いようです。
体調管理や機能の維持
特養では、原則として要介護3以上の方を対象にしています。
以下に要介護レベルの詳細をお伝えします。
- 要介護1|身の回りのことはほとんど自力で行えるが、部分的に介護が必要な状態
- 要介護2|日常生活を送る上で見守りや介助が必要で、食事や入浴、排泄などの身の回りの介護が要求される状態
- 要介護3|歩行などを自力で行うことが困難で、日常生活のほぼすべてに介護が必要な状態
- 要介護4|介護なしでは日常生活を送ることができない状態
- 要介護5|寝たきりの状態
特養での対象は要介護3以上の方です。この理由は、身体機能の低下を防ぐための体調管理を行うからです。
ユニット型特養で働くメリットとは?
仕事内容において、他の介護施設と比べて介護レベルの高い利用者に介護サービスを提供する違いがあります。次に、ユニット型特養で働く場合のメリットについてお伝えします。
対応能力や介護スキルが向上する
介護スキルを向上させたいと考える際、より介護度の高い利用者と接するユニット型特養は選択肢の一つとして考えられます。
症例経験を増やすことに加え、より多くの知識が求められるため、施設は勉強会や研修への参加を積極的に推奨することが多いです。このような環境は、他の介護施設に比べてスキルアップしやすいと言えるでしょう。
利用者に寄り添った個別ケアを実現
ユニット型特養では、利用者へのケアを専任で担当する施設が多いようです。専任で対応する利点としては、情報の収集が容易になること、そして家族との関わりが密接になることが挙げられます。これにより、より利用者に寄り添った介護が実現できます。
専任で深く関わることで「利用者がどんなことを求めているか」「何をして欲しいか」といった点に対する理解を深めることができます。
これらの利用者中心の取り組みは、満足度の向上だけでなく、業務効率の向上にも寄与します。そして、それは仕事のやりがいを感じやすくし、仕事をより楽しむことができると思います。
ユニット型特養がきついと言われる3つの理由
ユニット型特養には利用者にとっての多くのメリットがありますが、実際に介護職で働く者からは「きつい」という声が上がることがあります。
なぜ「きつい」と感じるのか、その理由を紹介します。
仕事を覚えるのが難しい
ユニット型特養では、人員配置基準により、1ユニットに1人の介護職員が必要とされています。そのため、1ユニット毎に専任の職員を配置する考え方が一般的です。
従来型のように多数の職員で多くの利用者を見守る体制とは異なり、新人が先輩職員から技術を学ぶ機会が減少します。その結果、新人が仕事を覚えるのは他の施設より難しくなる場合があります。
人員が少ない夜勤が大変
人員配置基準によれば、夜間は2ユニットに1人の対応となります。このため、一部の施設では約20人の利用者に1人の介護職員が対応することになります。
急なトラブルや昼夜逆転の利用者の対応が重なると、介護職員は非常に困難な状況に直面します。対応人数が増えることで、業務の負担が増大し、それがきついと感じる要因となります。
複数業務の同時対応
専任であるからといって、身体介護だけでなく、上述したような様々な業務を同時に行うことが求められます。
利用者が一人ひとり順番に要望や介護を求めるわけではなく、しばしば同時対応が必要となります。これが負担となり、きつく感じる一因と考えられます。
ユニット型特養がきつい場合の改善策とは?
ユニット型特養に関して大変悩んでいる方は多いかと思います。しかし、利用者や職員間のコミュニケーションを強化し、対応業務を軽減させるための休息をしっかりと取ることで、改善策を見つけられるのではないでしょうか。
これらを踏まえて、具体的な改善策を提案いたします。
夜勤のシフトを減らす
夜間の対応人数に困っている方には、夜勤のシフト回数を減らす方法も考えられます。夜勤は過酷であることが多いため、日勤は利用者とのコミュニケーションを深めやすく、職員が多いという利点もあります。
夜勤を減らす選択肢を検討してみることをおすすめします。
他の施設を検討する
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他にもある!介護士が働く職場一覧
介護士が活躍する場所は多岐にわたります。
ここでは、介護士が働く施設や事業所を「訪問」と「居宅」の2つのカテゴリーに分けてご紹介いたします。
【訪問】
- 訪問介護事業所
- デイサービス(利用者自宅送迎を含む)
【居宅】
- 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
- 介護老人保健施設(老健)
- 介護付有料老人ホーム
- 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
上記以外にも、さまざまな事業所や施設が存在します。
介護業界は人手不足となっており、これからの需要も増加していくことが予想されます。それゆえ、特徴を理解し、自分に合った介護施設を探すことが、求める条件に近づくための重要なステップとなります。
きついと言われるユニット型特養だが、メリットもたくさんある!
ユニット型特養では、利用者一人ひとりに合わせた介護ケアが実現できるため、やりがいがあり、スキルアップにつながるメリットもあります。しかしながら、対応する人数が多いための介護の負担や、多岐にわたる業務の対応が求められるため、大変だと感じる面も存在します。
現在の仕事がきついと感じる場合、シフトの調整や他の施設への転職を検討することで、状況の改善が期待できます。その際、介護の単発バイトアプリ「カイテク」で単発バイトを始めてみると良いでしょう。